第2話 きっかけ



 何故、潮田くんの細胞を育てる事になったのかお話します。


 私は潮田美希。

 

 潮田くんは私の夫です。


 私たちは結婚十年目でした。

 

 子供こそいませんでしたが二人で幸せに暮らしていました。


 夫は研究員でしたが、何の研究をしていたのかは死ぬ時まで知りませんでした。


 結婚生活はみんなと変わらなかったと思います、一つを除いては。


 私は専業主婦でした、ごく普通の。


 しかし、夫は研究員をしているとゆう事以外は、生まれも、育ちも、教えてくれず、両親にも会った事はありません。

 いたのかも知りません。


 もちろん、私の家族にはそんな事も言えず、夫の両親役はレンタルしました。


 頻繁に親族で会う事もないので。


 そんな何処の馬の骨かも知らないやつと、どうして結婚したのかって思いますよね。


 それはズバリ見た目です。

 

 夫は私のタイプだったのです、理想そのものでした。


 稼ぎもあり、見た目がよく、その上性格も私とよく合ったので、結婚するしかありません。


 結婚式の夫の来賓客も当然レンタルしました。

 お金は余るほどあるので。


 夫には友達もいません。

 しかし、仕事仲間が友達と言っていた事があり、半信半疑でした。



 あっ出会いを話してなかったですね。



 私たちの出会いはマッチングアプリでした。

 今でこそ、周りに言えますが、

 当時はマッチングアプリとは言わず、出会い系などと言い、コソコソとしなければならないような風潮でした。

 

 夫のプロフィールも嘘だらけでしたが、

 私たちはすぐに意気投合し付き合い始めました。


 夫も私の事がタイプだったようで、付き合って一ヶ月程で結婚を決めました。


 子供は、正直欲しかったです。


 でも、中々出来ず、夫も仕事で家を空ける事が多かったし、何より不規則だった為、私は夫のサポートに専念しようと思い子供は諦めました。


 漠然と二人で歳をとって、老後はのんびり過ごせるかなーなんて思ってた矢先の出来事でした。

 

 夫が死んだのです。

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