(一)-5

 私は「明日警察に行くことになった」と答えた。

 彼は「警察に?」と少し驚いたようで、私の方を見てきた。

「参考に話を聞きたい、って」

「それだけ?」

「それだけよ」

「そう。それなら良かった」

 そう言うと彼は再びテレビのニュースに目を戻した。

 それを見て、私は彼の隣に腰を下ろしながら「心配した?」と聞いてみた。

 彼は「少しね」とテレビから目を離さず言った。

 良かった。正司さんを不安にさせたかと思ったけど、大丈夫そうだった。

 それにしても、あの男は一体何をしたのだろうか。いや、あの男が何をしていても、私には関係ない、どうでもいいことだ。


(続く)

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