(一)-3

 ともあれ、「知っていますが」とだけ答えた。

 間、髪を入れずに「どこにいるかご存じありませんか」と高齢の刑事は低い声で続けた。

 その勢いに押されて私は「さあ……」としか答えられなかった。実際に現在どこにいるかはわからなかった。それは、単純に今だけの話ではない。それは彼とは一年前に別れている。だから「住所なら知っています。今もそこに住んでいるかは知りませんが」と続けた。もちろんそれは昔の話なので、情報が今でも正しいかは不明だ。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る