ええっ、最高な男いたんだが。

みお

第1話

「バレンタイン、俺にはねぇの?」


拓哉と廊下ですれ違った瞬間言われたひと言。


「あっ、ごめーん。こんなイケメンが近くにいたのに渡しそびれてたっ。


渡すに決まってるやん」


咄嗟についた冗談。


「だよなっ!


こんなイケメンに渡さないバカはいないよなっ!」


拓哉はそう言って、奈緒を見る。


二人は目を合わせたまま、笑い合い、二人は別々の会議室へと向かって行った。


うわー。


あれは冗談だよね?


いや、待てよ。


一応先輩だし、義理チョコくらい渡した方がいいのだろうか?


奈緒は会議が始まるまでずっとそれを考えていた。



拓哉はね、イケメンなんよな。反則的に。


でもね、拓哉はうちのことなんとも思ってないんよ。


部署は同じだが、一緒には働いていない。


チームがあって、目標が達成されるまでは、そのチームは解体されないという仕組みなんだけど、拓哉とはチームは違うんよね。


てか、一緒になったことない。


けど、なぜか廊下とか食堂で会った時に話しかけられる。まぁ、その程度な関係なもんで。


だからこそ、チョコなんて全然あげるとか眼中になかったんだけど、イケメンからそんなこと言われたら少し気にしちゃうやない?


んで、どうしようかと迷ってるとこ。



------------------------



一人暮らしの家に帰って、ラインを開く。


うぅー。とりま、ギフト送っとくか。




奈緒:遅れちゃってごめんなさいっ!

   こんなにイケメンな先輩がいるのに、

   当日渡さなかったなんて、大いに反省

   です。

   いつもお世話になってます!!

   これからもよろしくお願いします!


拓哉:ええっ!? 

   まじでビビった笑笑

   何もしてないのに奈緒からもらえる

   なんて、、、

   これから奈緒に貢がないとだなっ!

   最高のバレンタインでした! 

   ありがとうなっ!


奈緒:いやいや!

   この間、でかいプロジェクトの

   リーダーしてたし! 

   めちゃかっこよかったですよ!   

   ほんと、お疲れ様でしたっ!  

   少しでもこのギフトで息抜き 

   してもらえたら!


拓哉:そんな大層なことしてないよ笑

   けど、ありがとう。

   めちゃ嬉しかったわ。

   じゃ、今度飲みいこーっ!

   貢ぐよ笑笑


そして、なんやかんやで、ラインが続くのであった。


読書が好きなところとか、歴史が好きなところとか、城が好きなところとか、とにかく話が合う。


共通点が次々に見つかるんよなぁ。


話もおもろいしさ、ラインの返信のタイミングとか、会話とか、なんとなく合うというか、フィーリングが合うというかね。


第六感が、合うよねって言ってるみたいに。


ラインだけかと思いきや、社内でも話すタイミングがなんか増えた。


目が合うというかなんというか。


うち自身、闇があるから、あんまり人とコミュニケーションをとるのは控えているんだけど(あ、社内にいるときは別ね。ギアあげまくって、にこにこ演じて、笑顔いっぱいでいる)、彼の場合は、その闇さえも受け入れてくれそうなそんな気がしている。


まぁ、まだ話してないけどねん。


まだまだどうなるか、分かりませんが、ひとまず言えること。


それはフィーリングが合うと言うことですっ!

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ええっ、最高な男いたんだが。 みお @mioyukawada

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