異世界サイボーグ冒険記
@Wasshoi07
プロローグ
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西暦2020年。当時、科学技術は大いに進歩していたという。それでもなお、人々に「心」は残っていたようで、馬鹿なことで笑い、辛いことに涙し、楽しいことにはめいいっぱいのめり込み、頭にきたら怒っていたという。それを当時の人々は「喜怒哀楽」と名付けていたようだ。
しかし、そんな感情を苦痛と捉えることがあったというのだから驚きである。とはいっても、全くその気持ちを理解できないというわけではない。例えば、その時代、「ミスコミュニケーション」というものがあったようだ。なにせ、人々は互いの心の内を完全には理解できなかったようで、誤った認識をしたが上に相手を傷つけ、そしてまた自分も傷ついてきたという。
そんな人々にとって、お互いの心を正確に把握し、一寸の間違いもない意志疎通を図ることは、まさに理想中の理想だったに違いない。
だが、完全に人の心を熟知できるようになった今、我々から人間らしさというものが薄れてしまったように思うのはきっと思い過ごしではないはずだ。
馬鹿みたいにグルグル同じところで躓く人間だからこそ、人間らしくて尊いーなんて言うつもりはない。だが、感情に振り回される人間だからこそ時に面白い出来事に出会えるというのは本当だ。
結局、2020年代のようなややこしさに包まれた人間がよいのか、それから少し先の完全に他人の心が見えるようになった未来の方がいいのかは定かではない。
これは、両方の立場を経験した青年の「心」に関する記録である。
(記録: 西暦2047 Jelkid )
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