平和にした世界で私はまた脅威をつくる

@sakekann

第一話罪の上塗り

私はせき込んだ。大きく息をすい込んだためだ。数分前までは透き通った空気で体が洗われるように感じた空気だったのだが。

かつて森であったこの場所は木々の跡形もなくまた緑もなく一面赤茶色の焦げばかりが広がっていた

かろうじて残った枝や生き物の破片にはすがるように炎がついていた。私は膝をつき、地面に頭をこすりつけていた。力が入らなかった。

「ゆるしてくれ」

焦げた土が口に入ってきた。苦味が口に広がった、その苦みは血の味ににていた。

私の発明した魔法道具がこの惨状を作ったのだ。人のためだと国のお偉いさんに頼まれ開発したものだった。魔物を殲滅するそれが人類の発展になるのだと。

忌々しい魔法道具を開発した時、私は舞い上がっていた。様々な人からおだてられ世界は平和になると。

それがどうだこの惨状は

最後の炎が消えたとき、瓦礫がずれる音がした。私は考えるより先に音のもとへと駆け寄った。

そこには前足から血が出てその血は黒く変色し固まっていたが。

小さな赤と白のトラ模様をしたモンスターがかすかに息をしていた。

この子を守り育てることのみが私の生きる最後の意味だと悟った。とんだマッチポンプだがこの子に殺されるまでは生きておくことを心に決めた。


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