第2話 褐色

 濃く、青い、勝つための色。


 たまたまめくった本にその色はほどこされていた。


 これは武家が愛す色。


 私もこの色をまとえば、纏ってしまえばアイツらに勝てるのだろうか。


 心に何かの引っ掛かりを感じる敵のような存在。それがどこのどいつか、或いはこの私なのか。


 さっぱり分からない。


 だけど、何かに打ち勝たないと私はこの先の険しい道を歩いていけないような気がする。


 掴みたい物はそこにあるのに、行きたい場所はもう見えてるのに。


 この無防備な姿で辿り着ける気がしない。


 道は青いアスファルト、何も私を転ばせる物など落ちていないのに。


 だけど、私には何も持っていないから


 だから、行きたいのに


 でも、迷ってる時間なんて


 後ろの道は私がしっかり辿って来た真っ白な道。


 そう、終われば白くなるんだ。


 今は怖くても進んでしまえば、一歩進めばその後ろは私の色で染まりきる。


 さぁ、ほら!


 かの武士も時代を変える為声をあげたのだから。


 現実帰りの夜は褐色に染まっていた。


 その整った道を力いっぱい踏んだ。


 横断歩道はまるで今と未来の狭間のようで、夜の信号は青く光った。


 だとしたら、行くっきゃないでしょ。

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