薔薇の花束をきみに

朝日屋祐

プロローグ 在りし日の約束

 とある愛のない王国には見目麗しい姫君がいた。姫君は聡明だった。姫君は思い合い、惹かれ合う男に会いに行った。だが彼は病に倒れた。彼は姫君に一輪の薔薇ばらの花を差し出した。


「私の命は長くない。結核であり、貴女を養う経済力もない。城に帰って欲しい。違う男と幸せになってくれ。最期に貴女に伝えたい。私のことを忘れないと約束してくれ。そして私は貴女を心から愛していたことを」


 姫君は城へ帰り、愛する男の赤子の命を授かって産んだ。

 生まれた息子は国王となった。そして姫君は一生独身を貫いた。闇龍ダークドラゴンの王国は革命を過ぎ去り、民が望む自由の王国を創り上げた。それはまさしく彼の”愛”であった。

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