美少女とモテ男くん

 最近よく学年一のモテ男くんは、理央ちゃ

 んのもとへ話しかけに行っているようだ。

 

「良夜ー。理央ちゃん最近よくモテ男といん

 じゃん。やじゃねーの?」

「あー、まあな」

「なんだよ良夜、余裕があるなー」

「ねぇけどさ、しょうがないんだよ。」

 ?なんでだよ?

 みたいな顔をする友達。

 だってオレたち付き合ってるフリだから。

 なんて言えるわけもない…。

 理央ちゃんがモテ男くんと付き合いたいな

 ら、それは仕方ない。

 

 最近は、モテ男くんがよく理央ちゃんの周

 りにいるから邪魔しないようにしている。

 学校では、あんまり話さないけど家ではよ

 く話をする。

 理央ちゃんは、女友達とたまに遊びに行く

 ようにもなった。

 その度に洋服選びをお願いされる。

 着替える時は、外に出てるよって申し出た

 けど、そんなのわざわざ面倒でしょって理

 央ちゃんは、微笑み小悪魔発動してやっぱ

 り密室でお着替えをする。

 

 そんな理央ちゃん…

 最近ため息が増えた気がする。

 まさか恋の病ってやつか⁈

 学年一のモテ男くんを好きになったのか⁉︎

 モテ男くん…

 あとひと推しだな…。

 

 とある休み時間

 理央ちゃんが向こうから歩いてきた。

 モテ男くんも一緒に…。

「良夜くん!今夜も着せ替えお願いね!」

 なんて着せ替えおねだりしてきたじゃねー

 か。

 でも、ここ学校っすよ⁉︎

 しかも隣にモテ男くんいるのになんて発言

 を。

「あー、うん。わかったよ」

 するとモテ男くん…

 オレの耳の側で舌打ちをした。

 そうっすよねー…。

 

 まさか理央ちゃん、モテ男くんにヤキモチ

 やいてほしくてオレにわざわざそんな事言

 ったのかな。

 モテ男くんに小悪魔発動中だったのかな。

 

 はぁ…。

 オレの彼氏のフリももうすぐ終わりを迎え

 る。

 

 学校でまたモテ男くんと理央ちゃんが一緒

 にいた。

 ちょうど二人の横を通り過ぎようとしたら

 モテ男くんが、

「おーい。理央ちゃんの彼氏ー。」

 ってオレを呼び止めた。

「ん?何か?」

「なにか?ってさー。オレいつも理央ちゃん

 といるけど、なんでそんなに平然としてる

 わけー?」なんて聞いてきた…。

 それは…本当は彼氏じゃないから。なんて

 言えない。

 しかも、平然としてるフリで本当は嫌に決

 まってる。

 でもな…。

 ただのオレの片想いだし。

 割って入る権利なんてない。

 

 返事に困っていると理央ちゃんがいきなり、

「良夜くんは、器が大きいの。だからそのく

 らいじゃ怒らないの。それに私たち愛し合

 ってるから」

 なんて言い出した…。

 理央ちゃん…。

 そこまでして恋人のフリ続行したいのか⁉︎

 なぜだ⁉︎

 モテ男くん他の人のところに行ってしまっ

 てもいいのか⁉︎

「ふーん。愛し合ってるか…。フッ」

 モテ男くんは、行ってしまった。

「理央ちゃん、あんな事言ってよかったの?

 行っちゃったよ?」

「うん。最近しつこくて困ってたの。だから

 ほんとよかった。」

 えっ…

 そうなんだ…。

 

 その日からモテ男くんが理央ちゃんにしつ

 こくつきまとうことがなくなった。

 …でも、たまにモテ男くんこっちをじーっ

 とみてくるんだよな…。

 

 ま、理央ちゃんが最近ため息つかなくなっ

 たからよかった!

 

 お風呂から上がり部屋に行こうとしたら、

 廊下で理央ちゃんと遭遇した。

 パジャマ姿でなんとも可愛らしい。

「あれ、良夜くん髪まだぬれてるよー、ちゃ

 んと乾かさないと風邪ひいちゃうからね」

「うん。そうだね」

「ヘックシッ」

 理央ちゃんこそ風邪ひいたか⁉︎

「大丈夫?寒い?オレ風呂上がりだからあっ

 ためてやろうか」

 なんて冗談を言ってみた。

 すると…

 恥ずかしそうに

「うん」ってうつむく理央ちゃん。

 マジで⁉︎

 そりゃやばいっすよー…

 ならばすかさず

 ムギュ〜。

 フワッ

 理央ちゃんの髪からいい香りがした。

 スゥ〜。

「はぁ〜、いい匂い」

 あっ…

 心の声ダダ漏れした…。

 オレ変態みたいじゃん。

「…あっ、ごめん。あっためてあげるとか言

 いながらオレがホクホクになっちゃった…。

 ハハッ」

 そっと理央ちゃんから離れた。

「えっ、私結構前にお風呂入ったからからだ

 冷えてたでしょ?なのにホクホクになった

 の?」

「うん。理央ちゃんいい匂いするし、やばす

 ぎ」

「本当⁉︎やばいの⁉︎こんな私なんかで⁇」

 …こんな私って…

 理央ちゃん、自分の魅力に気づいてないの

 か⁉︎

「理央ちゃんは、スーパー美少女って学校で

 言われてるんだよ⁉︎知らないの⁇」

「えっ、私が?美少女⁈良夜くんおもしろー

 い。」

 クスクス笑う理央ちゃん…。

 理央ちゃん。

 自己評価どんだけ低く設定してんだよ…。

 やっぱり天然小悪魔だったのか…。

 

 あんまりかわいいから、もう一度ムギュ〜

 ってしてやった。

 んも〜、かわいすぎ!

 しかもンキュなんて変な声をだす理央ちゃ

 ん。

「ごめん。苦しかった?」

「…うん。ある意味ハートがバクバクで…」

 なんて赤くなる理央ちゃん。

 くぅ〜。

 なんだよそれ⁈

 だからもう一回優しく抱きしめながら耳元

 でささやいた。

「おやすみ。」

 すると

 ウキュッ

「うん。おやすみなさい。」

 って返ってきた。

 最高です。

 これは本当に付き合っているフリなんだろ

 うか⁉︎

 どうなんですかーー⁉︎

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る