第45話 コックリさん?

 夏休みが終わり、二学期が始まって二週間後、生徒達の間ではとある遊びが流行っていた。


 モノオキさんという名で、内容的にはこっくりさんのような物だ。


 紙に直筆で、魔方陣のような物を書いてその中心に、はい、と、いいえ、を書いて質問の内容を紙に向かって言ってから寝ると、夢のなかで、はい、か、いいえ、かを教えてくれるらしい、ただし使った紙は神社の賽銭箱(さいせんばこ)に入れなければ質問した人は呪われる。


 なんとも単純でひねりが無く、子供の考えそうな内容だ。


 その遊びは学校中に広まり、ブームとなったが、先生達もすぐに治まるだろうとほおっておいた。


 ただそれが奏蓮の元へくると、先生達の行動が間違いだったと判明した。


 今まで奏蓮はてきとうにあしらいながらモノオキさんをやらなかったが、誰のイタズラか、奏蓮が帰る準備をしていると机の中からモノオキさんの紙が一枚入っていた。


 奏蓮がくだらないとゴミ箱へ捨てようとした時、彼の手が止まる。


「……これは」


 一見するとゲームやマンガなんかでありそうな魔方陣、だがそれは魔方陣としての形式をちゃんと守っており、奏蓮には読めないが、字そのものには見覚えがあった。


 間違いない、これは子供の遊びではなく、魔術の知識を持つ者が意図的に流行らせたのだ。


 奏蓮が京子とも話し合い、家で一緒に魔術書を調べるとすぐに分かった。


 これは低級霊を縛り付ける魔法陣で、使い魔を育てる時に使う道具だ。


 質問とか夢の中で教えてくれるというのは流行らせるための要素で魔術とは関係ない、むしろ重要なのは一晩置いておくという辺りにある。


 方法は単純、一晩おけば自然と霊がもっとも活発に動く深夜二時を迎える。


 そうすればその紙は近くにいる低級霊を捕まえてくれる。


 あとは元となる霊にそれを与えれば使い魔は勝手に霊を吸収して強くなっていくというわけだ。


 場所に神社を選んだのはおそらく、ソレっぽさを出すのとみんなが納得しやすいからだろう。


 モノオキさんは子供達の間でしか行われていないため、保護者は知らない、ましてソルジャー協会の耳に入るはずも無い、ただ無邪気な子供達が神社に紙を投げ入れる行動は、ソルジャーが見てもいたずらとしか思わない。


 まさに子供の奏蓮と京子だからこそ気づいた事件と言っていいだろう。


 普通ならここで祖父か京子の親に話を伝え、ソルジャー協会に連絡をするべきだろうが、奏蓮達はそんなもったいない事はしなかった。


 自分達が見つけた事件、それをどうしてわざわざ他の人に手柄をあげなくてはならないのだろうか、やはり自分達で解決したいというのが当たり前で子供なら特に強く思うだろう。


 だが二人だけの力でブームを止められるわけもなく、自然とみんなが飽きるのを待っていては使い魔がどこまで強力になるか分かったものではない。

 となれば方法は一つだった。

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