世界に役立つ第六感 でも俺の能力は役立たず

Tonny Mandalvic

第六感は役に立つ。けど俺の第六感は役に立たない

 20××年、人類は特殊能力として第六感を付与されることとなった。

 現行の視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の情報に加えて、何かを超越した特殊能力が全員1つ付与されることとなった。




「こんにちは、今日の運勢です。」

 今日も謎のテレビからの占いが発動する。

 人間を12区分に分けて充てられる占いがあるのなら、本当にその人間は特殊な世界に生きているのだろう。

 当然ながらそんな能力を持った人はこの世にってええええええええええええええ


 顔出しで占いを公開している人は、血液型を見るだけで、その人の予言ができるらしい。やばいなこいつ。と思いながら、自分の特殊能力である他人の特殊能力をあてる力を作動させる。


 まあ、上述した通り、この社会では自分の特殊能力が赤ちゃんから死ぬまで1つだけ付与されており、それが遺伝ではなく全くのランダムで付与されることとなっている。

 そのため、その能力を活用して、人生に活用しているやつもいれば全く活用できていないカースト制度のような制度が達成されてしまった。


 まあ、俺の能力である他人の能力をあてる力というのは役に立つのだか立たないのだかよくわからないし、それは証明されていないし、また相手にうそをつかれたらそれが本当なのかはわからない。


 大多数の凡人は、それ以前の生活と何ら変わらない生活をするしかないだろう。


 ともかく学校へ行く。

 今日も見飽きたクラスメイトや教師たちの特殊能力鑑賞をする。

 こいつは将来有望だなとか逆にこいつの特殊能力は役に立たないなとかそれを思いながら、朝を過ごす。


 特殊能力役立つ組の話を聞きながら、何か面白いことを話していないかを盗み聞きする。趣味が悪いが気にしない。

 今、あいつはパパ活しているだのなんだの言っているが俺には関係のないことだしどうでもいいや。

 また20歳超えないと役に立たない能力とかもある。

 例えば株とかギャンブルとか。

 株、ギャンブルの才能のあるやつに話を聞く。

 どうせもうからないんだし、俺も手を出せないのだから嘘をつかれることは少ないだろ。


「おう、今日のサッカーの結果はどうだ。」

 競馬とか競艇とか言っちゃうとギャンブル狂だと思われるのでマイルドなサッカーにする。

 どうせ、俺もサッカー好きだし。できないけど。

「マ〇〇が勝つぞ。」

 そうだ海外のベッティングサイトにって、できないんだった。

 このような他愛のない話を続けていく。


 あと、このクラスで一番特殊能力が役に立たなそうなやつが俺の友達である。

 特殊能力が高い奴はクラスカーストでも上位だからな。仕方ないね。


 俺も特殊能力に頼ることはあるが、特殊能力を信じすぎてもよくないと思っているし、相手に知られたくないことまで知られたいとも思わない。

 それ以前に、何を考えているのかすべてわかるやつに会ったことがあるが、そいつは気味悪がられていたので、かかわらないようにしていたし。



 わが友である癒しの友と話をする。

 こいつの特殊能力はなんと、

「今日何を食べたかを当てる能力である。」

 本当にくだらない。



「おはよう、山口。」

 俺は彼に声をかける。

「おはよう、福島。」

「今日の俺の朝飯はなんでしょうか。」

「今日は、なんも食べてない。」

「あたり、すごいな。」

 茶番。

 こいつと話しているときだけが唯一の救いである。

 後、ゲームとかやっていても先回りされないし。

 他人の心がわかるやつトス〇〇ラやってた時ははめられまくって強かったし。

 あいつ、今何してるかな。

 格ゲーのチャンピオンでもやっているのだろうか。



「長野さんすごいな。今日もテスト満点だって。」

 彼女はテストを予知する能力があるから、それで満点とってるんだって。

「新橋君は今日もアイドルみたいだね。」

 その新橋君の特殊能力は、他人をたぶらかす能力である。個人的にはインキュバスというあだ名をつけている。こいつに寝取られたらたまったもんじゃない。

 ママ活でもしているんじゃねえのと個人的には思っているが、彼の名誉のために、やっていないと信じたい。

 それ以前に見ていない物事を憶測で語るのは望ましいことではない。

「サッカー部の浜田君、今日も練習量すごかったね。」

 やつの回復力は半端ない。

 そのせいでほかのサッカー部の連中は彼の運動量についていけずにみんな死屍累々となっている。

 これも特殊能力だ。

 健全な特殊能力が出てきたな。



 癒しのときが過ぎ、惰眠をむさぼる授業も終わり至福の放課後がやってきた。

 部活に行くとイタコ先輩がやってきた。この人は霊と話せる能力を持つ先輩だ。

 一応名前があった風間先輩だ。

「福島くーん。」

「はい。」

 どうやら霊的な声が聞こえることと、幼少期に霊的なフィールドに長時間いたことが人格形成に影響を与えたらしい。

「今日は部活動するの。」

 きれいな先輩モードではないのでパスしたいが、暇なので参戦することにした。

「今日は何をするんですか。」

「昨日地下鉄に突っ込んで迷惑をかけた霊に説教する。」

「そうですか。じゃあ行きましょう。」

 風間先輩は、霊と話せるのせいで、他人に信用されなかったらしい。

 自身の祖母の葬式に霊と話すことをやってしまい、それが信用されなかったことから親戚や両親と折り合いが悪いようだ。


 俺はおばあさまと話せたことが本当だとは思っているが、運も悪かったのだろう。


 地下鉄のホームに風間先輩と僕がやってくる。

 すると一人で風間先輩はわめき始める。

 どうやらその辺にいたようだ。

 とりあえず気のすむまで説教をした。

 絶対変な集団だと思われたが気にしない。



 それを見ていた山口が、俺に向かって言う。

「また風間先輩とつるんでいるの。」

「だって先輩面白いし。」

「そんなことしていたら変人扱いされるよ。」


 変人扱いされようがおもしろければ構わない。

 とりあえず活動報告として風間先輩が聞いた話をまとめて文化祭で売る準備をする。

 活動実績がないとつぶされて自分の居場所がなくなるからね!


 このように、五感のほかに特殊能力があったとしても、自分の人生を豊かにできるという絶対はない。

 第六感を持っていたとしても、それはただのオプションであろう。逆に、何らかの理由で五感を失うこともあるともいえる。それを悲観するかどうかについては自分の考え方次第によると思う。











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