第六感戦隊・風の哲的恋愛考察

戸森鈴子(とらんぽりんまる)

第六感戦隊・風の哲的恋愛考察


てつ! いったわよ!」


「よし銀子ぎんこ! 任せろ!」


 眉間の、第三の瞳がある場所を念じて俺は風のカッターを繰り出す。

 怨念の塊、妖魔は真っ二つだ。


「やったわね!」


 セーラー服ムチムチボインの銀子は、人差し指と中指をビッと立てると火で一気に浄化した。

 汗を拭く俺の前に、光り輝く男が現れる。


「今日も完全勝利だ。さすが哲だね」


「何を言うんだよ、あそこで追い込んだのは平祐へいすけだろう」


 爽やかで聖なる力を操るイケメン平祐と俺は拳で勝利を祝った。


 第六感が異常に進化し、悪を討つ力まで手に入れた俺達六人。

 第六感戦隊として社会人チームを作り、影で悪と戦っているのだ。

 ちなみに銀子のセーラー服はコスプレである。


「もう~~~私の事は褒めてくれないの~? 平祐く~ん」


「あぁ、もちろん世理奈せりなちゃんもすごかったよね」


「でしょ~」


 めちゃくちゃ可愛い世理奈ちゃん。

 水の力なのか今日も髪も目も唇もウルウル。

 今日も男受け最高の清楚な服で戦って平祐の腕に絡む。


「俺はぁ~銀子ちゃんの浄化やっぱ最高って思うよ~~」


「きっしょ、木戸抜きどぬき触るなよ」


 木戸抜きどぬきは気のいい奴なんだが、ちょっと距離感がキモイ筋肉ムキムキ土男だ。


「……この後、焼き肉行きます……?」


 昌美まさみさん。

 俺達より結構年上の陰属性お姉さん。

 地味なんだ。でも結構主張はするタイプ。


「あ、いいですね。お腹も空いたし、打ち上げいきますか」


 平祐が、清々しいイケメン顔で微笑んだ。


「それでは私。予約します」

「わ~い、うれしぃ~~~~」

「仕方ないねぇ、行ってやるか」

「俺、いっぱい飲んじゃうから飲み放題あるとこにして!」


 はぁ……。

 俺は俺の使命としてこの第六感戦隊に属している。

 しかし、こいつら第六感はめちゃくちゃあるのに、まじで第五感が劣ってる!


 全員が全員! 恋愛鈍感バカなんだよ!!

 女三人が平祐を狙ってるのは一目瞭然なのに、平祐はまじの鈍感男!

 世理奈ちゃんの告白時には耳は聞こえない。

 銀子の告白時にも聞き間違え。

 昌美さんの告白時には聖なる泉が吹き出して、俺なんかやっちゃいました? って言う始末……。


 女三人もそれでおかしいとも思わず、ずっと好きーってやってるし

 木戸抜も、第六感を使って作った砂の像はむちゃくちゃ繊細な美しさのに……

 女への距離の詰め方がキモすぎる。セクハラがすぎる。


 平祐を追いかける女三人、それを追いかける木戸抜を見てる俺はストレスMAX。


「じゃ~お疲れ様」


 帰り道も、大人な寄り道がしたい女三人が平祐の周りをチラッチラしてたけど

 俺はそのまま放置して帰ってきた。

 仕方なく~~で、この六人での二次会カラオケなんかになったら悲惨だからな。


 第六感は優れてても、恋とか愛とかやっぱそこは関係ないんだな。

 俺だったらうまくやるけどな~~と夜道を歩く。


「飲み足りないな……」


 コンビニ寄るかと、ふと見るとコンビニ前に女の子が立ってる。


「あ、哲にい」


花音かのんか」


 ポニーテールにTシャツにジャージ姿。

 幼馴染の花音だ。


「こんな時間に女の子がコンビニ前でアイス食うとか……危ないだろ」


「なんかあったら第六感戦隊の風の哲が助けに来てくれるでしょ~」


「アホ、でかい声で言うな」


 カップ麺とチューハイと明日の朝のおにぎりを買ってコンビニから出たら

 まだ花音がいた。

 まぁいるのはわかってたけど、一人で帰ろうとしたら引き止めるつもりだったけどさ。

 そういう動く気配も第六感でわかるから。

 俺はなんでもわかる。


「チューハイって、おいし?」


「ジュースの苦いバージョンだな」


「18でさ、お酒飲めるようになったらいいのに」


「ならねーな」


 くっだらない話をしながら、いつもの道路を歩いてる。


「今日もいつものメンバーで焼き肉? 臭いよスーツ」


「まじか……帰ったらファヴしないとな。つーか花の年頃がこんな時間にコンビニでアイス食って……なんてゆーか寂しい青春だな」


「なっ……! 失礼!」


「もっと彼氏とか作ってさ~青春しろよ。俺だって彼女くらいいたぜ?」


「別れたじゃん」


「ぐっ」


 そう、二ヶ月前に高校の時から付き合ってた彼女に振られたのだ。

 第六感があったのに、なんにも気付けずに。

 お互いが悪いところあったね……なんて一緒に泣いて別れたのに、先日見ちゃったよSNS。

 ……あらあら君もう結婚するんですか~~? って……絶対その今彼と俺、かぶってた時期あったよね。でも第六感でも気付かなかったよ。


「大人の男をいたぶるなよ……ガキの恋愛の痛みとはな~重さが違うんだって」


 大人になったからなのかなぁ?

 第六感戦隊のみんなも、平祐も本当は気付いてて、でも気付かないフリして知らないフリをしてるのかな?

 大人になると怖がりになって、俺も本当は彼女の冷めていく心に気付いてた……のかもしれない。

 キスもしなくなってたの気付いてた。


「哲にぃ……ガキの恋愛だって重いよ……」


 喧嘩するのもな~って気になった事を指摘する事もやめてって、それが大人だから、なんてさ……向き合ってなかったのかも。

 俺は大人だしって、言い訳してさ。


「私はずっと……哲にぃが好き……だよ」


 でもだからってさ~あんなに泣いたのにやっぱ二ヶ月後に結婚って……隠してたって同級生みんな知ってたし結婚式……ん?


「ん? なんか……今言った?」


「ばかぁあああ!」


 俺は思い切りぶん殴られた。


「ばかぁ!! やっと好きって言ったのにぃ!!」


「えっ!? す、好き!? ええ!? 花音!!」


 もう一度俺をぶん殴って、泣きながら花音は走って行ってしまった。え!?今好きって言った!?好きって!?俺のこと!?うそぉおおお!!花音!!!第六感がすごいのに俺はめちゃくちゃ動揺してしまい花音が家にも帰ってないことを兄の修司に聞いて更に動揺し風カッターで家の門を壊した後で半狂乱になって花音を街中探し回り見つけた時には思い切り抱きしめてそれを両家族に目撃されその場で婚約させられ卒業後に結婚して子供にも恵まれて今では幸せな第六感戦隊風の哲です他のメンバーはまだ平祐の取り合いをしています木戸抜は引退した。


 俺的結論:第六感と恋愛上手は関係ない










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