第2話 雨は突然に

子が2人、妻が1人の仁科家


その大黒柱が仁科 宙(にしな そら)30歳

普通の会社員である。


宙が勤務する会社は自宅からバスで30分の場所にある。

電子部品関係の会社


宙の親は片親で父の裕樹が母を裏切り浮気をした為に宙が2歳の時に別れている。


その為、宙は父親を知らないのだ。


そんな宙を、妻になった女は宙を男にし父にした。


妻の明美は宙の2つ年上で、家計の管理から子供の世話まで良く出来た女だった。


ただ1つ、夫の宙に対しては冷たかったのだ。


しかし、宙自身は妻の性格だと理解し特に気にしてはいなかった。

その為、夫婦の仲は普通なくらいで良かった。


そして、結婚から10年目のある日を境に宙の中には雷雲の陰りが生じていた。


それは雨が突然にふりだすかのように。静かにポツ、ポツと。


9月25日(金曜日)


バス通勤の宙が、珍しく歩いて帰る事になった日の出来事である。










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