第3話 三人目との出会いと結婚
それから私はさすがに疲れて別荘で静養することになったの。
まあスキャンダル避けってこともあったのだけどね。
もうさすがに結婚する気が無くなり掛けていたわ。
だけどそこで、やっぱり離婚歴のある、一人の男に出会ったの。
彼はイライジャ。
何でも、奥方に逃げられたのですって。
ちょっと信じられなかったの。
だって彼は、それまでの夫達とは違って、とても誠実そうだった。
「仕事にかまけていすぎたのがいけなかったのかもしれません。つい、夫婦生活を怠ったのが悪いのか……」
私はその頃、もうそんな風に何かと性的なことに積極的な人々に嫌気が差していたのね。
だってそうでしょう、最初の夫といい、その愛人といい、次の夫と義妹、それに実の姉!
何だってそんな、ひたすらそればかり求めるの、って、私自身もう本気でどうでもよくなっていたのね。
だって私の夫婦の理想はもともと、茶飲み友達の様な現在の両親だったんですもの。
で、まあイライジャとは、ともかく別荘地でのんびり話をする友達として付き合い始めたの。
そう、彼だけなのよ。
私が結婚前からいいな、と思って付き合っていたのって。
で、向こうもそんな私の所謂「結婚生活」にがつがつしないところとか、興味のある話題が合うとか、そういうところでだんだん仲良くなっていったのね。
で、二年くらいそういう付き合いがあったのかしら。
いい加減はっきりさせろ、とどうもお互いの両親が私達の付き合いに対して言い出したのね。
向こうのご両親もうちの両親同様いい方だったし、彼はそんな両親に本当に可愛がられていたけど、それでいてべったりでもなく。
ああ今度こそ…… って思ったのよ。
ところが!
……私ね、イライジャとは一応ちゃんと結婚生活あったのよ。
だからこそ、この子ができた訳だし。
ただ、淡泊なのはお互い知っていたし、それがいい、と思っていたのね。
だけど、ところが! なのよ……
そこで、何故か私の兄が出てきたのよ……
私の兄はね、そう、さっきも言ったと思うけど、母方の血を引いたひとなのね。
で、父の事業もほどほどにやっているけど、それ以上にやっぱり音楽が大好きでね。
しかも、どうも合衆国のルイジアナ辺りに仕事で出かけた時に味わった音楽が忘れられなくって、それに近い音楽がどうにかできないか、というのを仕事の合間っていうか、半分そっちのけでやっている様なひとなのよ。
ピアノに太鼓と、そしてトランペットとかの楽器を加えて、何かもう騒々しいったらありゃしない。
でも妹としては、彼等の演奏会があるっていうから、出かけなくちゃ、ということでね。
そこにイライジャを連れていったのが間違いだったのね。
会場は小さい場所だったの。
ただ私、その時忘れ物しちゃって。
小さい場所だったから、そこの人が届けてくれるとか、無理かしら、と思った訳。
だからイライジャが言い出したの。自分が取ってくるって。
あれがいけなかったのよ。
そこで、兄が、彼に手を出したのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます