アウトドア用品準備編

アウトドア用品を集めていこう

 まぶたを閉じ、眠ってみたけど無理だった。一方の歩花は、ぐっすり眠っている。早いな。


 ……まったく、こちらの気も知らないで。こんな状況で興奮するなという方が無理だ。せっかくだけど、俺は歩花を起こさないように部屋を出た。


 そのままリビングへ。

 ソファに転がると、気が楽になって直ぐに眠気に襲われた。歩花には申し訳ないけれど、今日は許してくれ。




 ――暑苦しい朝がやって来た。




 おかしいな、冷房はつけているはず。快適に過ごせる温度設定にしていたはずだけど、異常に暑い。まるでサウナのような暑苦しさを感じていた。しかも、体も重かった。まるで両足に鉄球をつけられた囚人のような――そんな重圧感。


「……どうなって――うわッ!」


 目を開けてみると、俺の上には歩花がいた。しかも、少しふくれた様子。機嫌がちょっと悪そうな気配を漂わせていた。


「お兄ちゃん……昨晩、どうして部屋から出て行っちゃったの」

「す、すまない。さすがに下着姿の歩花を寝るとか難易度が高すぎた。ベリーハードだ」

「もぉ! そんなに歩花に魅力感じない!?」

「違うって。歩花は十分に魅力的だ」

「じゃあ、抱いて」


「……あ、朝っぱらから何を言って――あ」



 ちょうど狐塚ちゃんが現れ、こちらの状況に絶句していた。それから慌てふためいて叫んだ。



「歩花ちゃんも回お兄さんも何してるの~~~!?」



 これは誤解される前に弁明せねば!



「お、落ち着いて狐塚ちゃん! 歩花は妹だ。これくらいのスキンシップは日常茶飯事。当たり前の光景だよ」

「そうなんですか? でも、歩花ちゃんメイド服ですよ。も、もしかして……そういう変態プレイを毎日しているんですか」


 よ~く見ると、歩花は下着姿ではなく、メイド服だった。カチューシャまでつけて……これでは俺が妹にメイド服を強要してイケナイご奉仕をさせているみたいじゃないか。余計に誤解を招く! まずいぞ、俺の立場がどんどん悪くなっていく。


 ならば、軌道修正を図る。



「聞いてくれ、狐塚ちゃん。俺は無実だ」



 だが、狐塚ちゃんは震える手でスマホをこちらに向けた。そこには『110』の番号が――ああぁ! それはマズイって。



「回お兄さんを信じていないわけではないです。でも、歩花ちゃんが嫌がっているなら、仕方ないですよね……」



 まったく、ちゃんと見れば分かるとは思うけど動揺のあまり正常な判断が出来ていないようだな、狐塚。やれやれと溜息を吐いていると、歩花が解決に乗り出してくれた。


「あのね、紺ちゃん。メイド服は、わたしの意思で着てるの」

「え……」

「ていうか、紺ちゃんも着る?」


「え~…」



 そこでやっと理解したらしい、狐塚。スマホも床に落とすし、愕然がくぜんとしていた。どうやら、誤解は解けたようだな。


 俺は、歩花を持ち上げて立たせた。


「んぁ……!?」

「変な声だすな、歩花。ただ移動させただけだろ。俺は朝食の準備だ。狐塚ちゃんも食うだろ?」


 俺は視線を向ける。

 あたふたする狐塚は、うんうんとうなずくだけだった。でもそうだな、この家にやってきて一日目。俺と歩花の仲なんてそこまで理解していないはずだ。ここまで仲が良いとは思わなかったのかもしれない。



 台所へ向かい、ホットサンドメーカーを使った。オリーブオイルを適量。食パンを挟み、半熟卵とハムなど具を詰めていく。おっと、スライスチーズを忘れちゃいけない。後はこれを 焼くだけ。


 その間に電気ケトルでお湯を沸かせ、インスタントコーヒーを三人分作った。


 焼き終えて完成したホットサンドをお皿に盛りつけ、再びリビングへ。



「はい、朝食。歩花と狐塚ちゃんの分だ」



 テーブルに並べていくと、まず歩花が喜んだ。


「わぁ、お兄ちゃんの手作りホットサンドだ!」

「え~! 回お兄さんって料理できるんですね。カッコイイ」


 狐塚ちゃんは、尊敬の眼差しを俺に向けた。だけど、まだ早い。ホットサンドを食べて貰ってから評価戴きたい。


「さあ、召し上がれ。コーヒーもあるぞ」


 そこで狐塚ちゃんが顔を輝かせた。


「このマグ、Snowスノー Parkパークのチタンシングルマグカップじゃないですか!」

「せっかく買ったからね。使わなきゃ意味がない。それに“シングル”だと直火できるメリットがあるからね~」

「回お兄さん、分かってるー! ダブルも保温性とかあって良いんですけど、直火は出来ません。シングルはバーナーに置いて直接お湯が沸かせますもんね!」


 さすが『Snowスノー Parkパーク』のご令嬢。そこまで知っていたとはな。当然か。だから、外でも自宅で使っても邪魔にならないし、便利なくらいだ。


「お兄ちゃん、シングルとかダブルとか分かんない~!」


 歩花は、この辺りの知識がないらしく、理解に及んでいなかった。これから俺が手とり足とり教えていくかな。


「落ち着け、歩花。アウトドア用のマグカップにも色んな種類があるんだよ。その中でも、Snowスノー Parkパークのチタンマグは、シングルが人気なんだ。キャンパーも愛用しているくらいだぞ」

「そ、そうなんだ。そのシングルって?」


「それじゃあ、もう一度説明するぞ。シングルは、メーカー推奨されていないけど直火が出来るんだ。バーナーとかコンロでお湯を沸かせる。それ以外でいえばチタンって事だな。これは以前にも言った通り、耐久性抜群で、軽くて手触りがいいんだ。

 で、ダブルって方は保温や保冷効果は抜群だけど、直火は出来ない。したら、爆発したり危険だから絶対にしちゃダメだ」



 説明を終えると、二人とも拍手した。いや、たいした知識じゃないけどな。でも、悪い気はしなかった。なんだか照れくさいな。



「説明ありがとう、お兄ちゃん。すっごく分かりやすかった! マグカップにも色々あるんだね。それじゃあ、これは旅のお供にするんだ」

「そういうこと。日常にもアウトドア製品を取り込んで慣れていこう。というか、俺は愛用しまくりだけどね」


 すでにホットサンドメーカーも使ったし。……さて、朝食を頂きながら通販サイトのアマズンを使って、いよいよ『ポータブル電源』と『ポータブル冷蔵庫』を購入していく。早くしないと間に合わなくなっちゃうからな。


 俺は、スマホを取り出してアマズンへアクセス。さっそく検索していく。



***おねがい***

 続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る