追想 6-3


 暑かったから棒アイスに齧りついた。

 甘いひんやりとした感覚が、口から全身へ巡っていく。


 棒に残ったアイスを舐めていると、浮かんできたのは……。


 古ぼけた駄菓子屋の冷凍ケースを開ける感覚。

 霜だらけの庫内の不思議なにおい。


 もう、あの頃には戻れない。

 その切なさが、私の身体をいちばん冷やした。

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