針供養 2-8


 今日は針供養。

 使えなくなった針を豆腐なんかに刺して、神社に納める日だという。


 けれど、この部屋に針なんて……。


「あ!」

 ぐっと手を伸ばし針を取る。

 長いのと短いのを、壊れてしまった時計から。


「いままで、時間を教えてくれてありがとう」

 私はヒソリと呟いて、2本の針を豆腐に静かに突き立てた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る