拾う

バブみ道日丿宮組

お題:早いコメディ 制限時間:15分

拾う

「結婚してください」

 お風呂上がりの少女に宣言された。

「いかにしてそんな回答に?」

 声が若干震えた気がした。

「見ましたよね? 私の裸」

「それは……」

 そうだけど、まさか女の子だとは思わなかった。

 会社の帰り道で保護した子どもは、少年だと思った。

「今でも男に見えますか」 

「見た目はそうだね。裸を見るまではそうだと思ってたよ」

 俺のTシャツを羽織る少女は、それだけでも下半身さえ隠れるほどの小ささ。

 子どもにしか見えないし、少年にしか見えてこない。

 お風呂に入れようとして、服を無理やり脱がしてようやく少女なのだと認識した。

「私はもう18です。結婚できる年齢です。責任をとってください」

「いや……その。そういうのはなぜあそこにいたのかなんて説明から入るものじゃないの」

「それでしたら、簡単です。親に捨てられました。政略結婚の道具としても使えない人間はうちには必要がないとのことでした」

「それでどうしてゴミ置き場に?」

「自分は役に立たない道具なんだと思うと、自然にそこにいました」

 それは理由になるのか。

 ここまではっきりとした自意識を持ってる少女が、親に言われたからといって自ら行うか。

 親から言われたから、か。

「それで結婚の話はどうして?」

「はじめて見た人に責任をとってもらいたかったからです」

 純情なのか、諦めなのか、それとも別のなにかか。

「恋愛はイベントの進行具合によって起こります。私の場合は、裸を見られるということです。無理やり見たんですから、やっぱり責任を取るべきだと思います。手を出しても犯罪にはなりませんし、私は拒否しません」

「会って間もない人にそこまで信用するの?」

「普通の人は、接触しようとは思いません」

 通報ぐらいはありそうだけど、昔に比べて、人は臆病になったかもしれない。

 なにか悪いことに巻き込まれるんじゃないかとか、そんな感じに。

「それで結婚してくれるんですか」

「友だちからとか?」

「見ましたよね? 裸」

 何回言われるんだろうか、俺。

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拾う バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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