第三章 眞島の場合②
第1話 温水プールへ①
夏、猛暑、日焼けに熱中症。
それらのワードがあれど、今日の
「プールぅう!!」
市内某所の有名スポット。
温水プールでは有名なレジャー施設に、怜は恋人である
「あんまりはしゃぎ過ぎると、転ぶぜよ?」
怜が子供のようにプールサイドに飛び出すと、後ろから裕司がレンタルした浮き輪を持ってやってきた。
「んふふ、楽しむ時に楽しめばならぬのだよ、こもやん!」
「わからんでもないが、怪我して家にリターンする方が嫌でしょ?」
「う、ごもっとも」
ひとつ違いとは言え、やはり少し年上だからか言うことが違う。先日二十歳を迎えたばかりの怜では、まだまだ女子高校生のような気分が抜けきらないかもしれない。
大人の階段を登るのは、まだまだ険しい。
「ほいほい。準備運動するぜよ」
子供扱いではないと思うが、温水プールでも怪我防止のために準備運動することになった。他の客から邪魔にならない端に移動して……多少胸は揺れるが、裕司の目にはパーカーが見えているだけだから大丈夫だろう。
今日このレジャー施設に来たのは、さかのぼるほど一週間前だった。
「おお! いいんですか!!?」
怜がその日、まかないを食べに行く前に……上司からチケットをもらったのだ。
「いいのいいの。うちの家族で行けなくなったし、一枚だけだけどふたりか三人までは行けるから」
その上司は黒服と言う、女性でもひとつの宴会や会議のセッティングや進行を任される社員のひとり。当然ベテランなので、結婚していて家族もいる。
ただ、そのチケット期間中にレジャー施設に行こうにも、シフトなどのスケジュールの関係で行けなくなったらしい。
ホテル宴会もだが、スケジュールが変更になりやすい仕事は大変そうだとしか怜は女子大生のため、共感が難しい。
「ではでは、ありがたく!!」
「小森君と楽しんでおいで? そこフードメニューも豊富らしいから、彼にもいい勉強になると思うよ」
「
「ふふ。そこは間違ってないねー? あの子のまかない美味しいから」
「ですよね!」
怜もだが、ホテルのスタッフはたいてい、裕司のまかないの虜になってしまっている。
と言うことで、期間に行けそうなスケジュールを決めて。水着も新調してから裕司と今日来たわけである。
「いっち、にーさんし」
「ごぉ、ろく、しち、はち!」
しっかりと準備運動しながら、怜はこっそり裕司を見たが。
鍛えているとは聞いていないのに、ちゃんと腹筋が割れている恋人の上半身を見るのは今日が初めてだった。
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