心配です

味噌村 幸太郎

第1話 ひとりでできないもん!


 僕には二人の娘がいます。

 次女が今度、保育園を卒業し、4月から小学校に入学するのですが……。


 人一倍怖がりな娘ちん、6歳。

 

 ある『行為』が一人で出来ません。


 家で遊んでいても、必ず、母である妻を呼びつけます。

「ママぁ~ おしっこ~」

 別に自分でトイレをできないわけじゃないのです。


 一人で個室のトイレに入るのが怖いらしく、用を足している時、誰かがじっと見ていて欲しいそうな。

 妻がいない時は、僕を呼びます。


「パパぁ~ おしっこ~」

「はーい」


 トイレの扉を開けて、隣りの洗面所にいる僕を見ながら、用を足す。

 僕は壁にもたれかかり、黙って、その一連の行為を見守ります。


 ただ、これだけの事なのですが、大変です。


 保育園でも、女性の保育士さんに見てもらっているのだとか……。

 本人曰く、「おばけが出るかも」と怖いらしいです。

 しかし、僕は娘ちんに言います。


「あのさ、そろそろ一人で出来るようにならないとヤバくない?」

「嫌だ! 怖いもん!」

「だって小学校に入学したら、どうするの? 担任の先生に見てもらうわけ?」

「うん、それでいい!」

「いや……無理じゃない? 先生も大変だし、それに担任の先生が男の人だったらどうすんの?」

「全然いいよ!」

「良くないって……」


 ということで、男性の先生だったら、色々と相手も困るでしょうし。

 まあ、僕も心配なのです。


 本人は「誰でも一緒にいてくれたら、男の子でもいいよ!」と言います。


 いろんな意味で心配です……。


  了

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心配です 味噌村 幸太郎 @misomura-koutarou

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