第47話 選択肢31ー1「キスをしよう」(46話選択肢より)

「キスをしよう」


「ええ。いいわ」


「……」


リリィが目を閉じる。

俺はゆっくりとリリィに顔を寄せ、彼女の唇に自分の唇を重ねた。


「ちゅっ。ちゅ、ちゅ、ちゅ……っ」


軽い口づけを交わしているうちに、だんだんと夢中になる。


「ん。ちゅう、ちゅ、ちゅう……っ」


口づけを重ねるたびに、俺の中でリリィを抱きたいという欲望が膨れ上がる。

熱を抑えきれなくなり、俺はリリィから唇を離して口を開いた。


「リリィ。君を抱きたい」


「……」


リリィはするりと『一人称』の腕をすり抜けて、距離を取る。


「リリィ……」


拒絶されてしまったのだろうか。

身体を求める言葉は、尚早だっただろうか。

リリィは俺をじっと見つめて、口を開く。


「服、わたしが、自分で脱げばいい?」


「……え?」


戸惑って、またたくとリリィは魅惑的な笑みを浮かべる。


「それとも、あなたが脱がせてくれる?」


「……っ」


「脱いでほしい。リリィに」


「いいわ」


リリィはそう言って、服を脱ぎ始めた。

服が床に落ちるたび、彼女の白い肌が露わになる。

下着姿になったところで、リリィは脱ぐのをやめた。


「わたしばっかり脱ぐなんて、ずるい。ウィルも脱いで」


「わかった」


俺はリリィに言われるままに、服を脱ぐ。

そして、裸になって、リリイを見つめた。


「……」


リリィは魅惑的な笑みを浮かべて、身に着けていたすべてのものを取り去る。

そして俺は彼女と甘い時間を過ごした。


「俺にとって、リリィは特別だよ。……愛している」


「わたしも、愛しているわ」


俺を見つめて、リリィが微笑む。


俺たちは、この娼館で、鳥籠の中で生きていく。

狭い世界にいることが、不幸だとは思わない。

愛する人と、共に生きられるのなら、それでいい。


それでいいと、思った……。


【END2 鳥籠の幸福】

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