第25話 選択肢13ー2「確かに、誠意を見せていただきました」(19話選択肢より)
「確かに、誠意を見せていただきました」
クライヴは少額と言ったが、私の数日分の報酬に匹敵する金額だ。
欲張りすぎるのは、良くない。
恐喝は、細く長く続ける方が安全だ。
「では参りましょうか。クライヴ様のカナリヤの元へ……」
私は、クライヴと共に娼館へと向かった。
「ようこそお越しくださいました」
受付が、私とクライヴに頭を下げる。
そして、頭を上げた彼は、私の顔を見て瞬いた。
午前中に来た客だと、覚えていたのだろう。
「……このカードを見せれば、リリィに会えると言われたのですが」
「はい。カナリヤは、現在、どなたの相手もしていないので、お通しできます」
「あの、私ではなく、こちらの者を通していただけますか?」
私は受付に、クライヴを紹介した。
「……畏まりました。では、こちらへ」
受付の男は、クライヴと共に去っていった。
「……」
リリィは怒るだろうか。
……雇われの身の私の立場を、わかってくれるだろうか。
なんだか、ひどく疲れてしまった。
私は受付に用意してある椅子に座り込み、項垂れた。
きっと、もう、カードは使えなくなる。
私は二度とリリィに会えず、クライヴに対して優位に立つこともない。
長いため息を吐いた直後、名前を呼ばれ、私は顔を上げた。
目の前に、金髪が美しい、長身の男性が立っていた。
雰囲気が、リリィに似ている。
「私は、この館の主でございます。リリィは、あなたがカードを持ってくるのなら、クライヴという方と今後も会うと申しました」
「……そうですか」
「これは、私からの提案なのですが、こちらの方でカードを買い戻させていただくことは出来ませんか?」
「え……?」
娼館の主という男が提示した小切手には、信じられないほどの金額が書かれていた。
この小切手を受け取れば、仕事を辞めても、数年は暮らしていけるだろう。
「……」
私は……。
選択肢15
1小切手を受け取る(次へ/鳥籠の鳥【男主人公編】25話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】26話へ)
2小切手を受け取らない※BLルート※(鳥籠の鳥【男主人公編】25話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】29話へ)
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