第4話 選択肢1ー2手錠をはめる(1話選択肢より)

自分の両手を身体の前にして、手錠をはめた。

静かだった部屋が、さらに静まり返った気がする。


「手錠をはめてくれたのね」


彼女はそう言って、薄布の向こうから姿を現した。


「……っ」


私は、息を呑む。

ほっそりとした身体つきで、触れたら壊れそうな繊細な雰囲気を感じる。

何より、印象深いのは彼女の目だった。


細心の注意を払ってカットされ、磨き上げられた宝石に、意志の光を宿したような目が、真っ直ぐに私を見つめている。


「背が高いのね。あなた」


カナリヤが近づいてくる。

私は、彼女から後ずさった。


「なぜ、逃げるの?」


「……あなたが、美しいから」


近づくだけで、汚してしまうような気がする。


「ふふっ」


カナリヤは可愛らしい声で笑う。

なぜ、笑われてしまったのかわからず、首を傾げると彼女は口を開いた。


「娼婦を、美しいと言うのね」


「……っ」


顔が、熱くなった。

そうだ。彼女は娼館のカナリヤなのだ。

私は、クライヴを彼女に会わせないために、ここにいる。

一気に、現実に引き戻された。


私がここに来た目的を、カナリヤに伝えなければ……。

私は、彼女に話を聞いてもらうことにした。


「……」


私の話を聞き終えた彼女は、黙り込む。


「お願いです。私の主に、ここに来ないようにと言っていただけますか?」


「……いいわ」


彼女は私の申し出を了承した。

安堵のため息を吐いた直後、彼女が口を開く。


「でも、その代わり、あなたはわたしに何をしてくれるの?」


「え……?」


「……」


彼女は私の答えを待っている。

私は……。


選択肢5

1「何も、出来ることは無いと思います」(次へ/鳥籠の鳥【男主人公編】4話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】5話へ)


2「私に出来ることなら、なんでもします」(鳥籠の鳥【男主人公編】4話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】8話へ)

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