今、目の前にある危機【無知なる恐怖②】



百合子さんと斉藤さんの出会いは2年ほど前。

陰陽道の術を使い、人の幸せを願い、魔を払う仕事での、クライアントとして出会う。


その中で百合子さんは、自分が霊媒師として神下ろしをする事で、斉藤さんと共に歩く提案をされたそうだ。


斉藤さんはオーラーが見えたり、気功を操る。


しかし、いつしか神の声を聞く百合子さんの存在が大きなものとなって強くなり、自分にない力に畏怖し、そして魅了される。


誰もが持てないその力は、得体の知れない魔力があった。


ここで気をつけなければならないのは、それが本物であるか否か。

魔は言葉巧みに人の弱いところに入り込み、根を張る雑草の如く成長する。


惡蝋略自体誰の心にも存在し、負の感情を餌に孵化する。

孵化後は肉片と目玉の化け物となり、人間に寄生する。


宿主のエネルギーを最大限に活かす為、少しずつ宿主を洗脳しならがら成長する。

そして気がつくと、宿主に成り代わる。


それはやがて思考言動を支配し、通常では考えられない結果へと導く。


周りのものを少しづつ蝕み、孤立させ考え方を歪ませる。

自分に酔いしれ、己の思考に溺れ崩壊を招く。


それでもなお、宿主は正しいことをしていると疑わず、疑う必要すら感じない。

そして目の前で起きる不幸を嘆く結果を呼ぶ。


全て原因があっての結果である。

自分が引き寄せた、出来事だとしてもそれに気づかない。


しかし洗脳が解けた仲間が問う。

「この存在は本当に神なのか?」と。


しかし、宿主にとっては神の姿をした魔が言う以上、真実として疑わない。


誰もが簡単に陥る闇の仕組みである。


その異質性に気づき、百合子さん自身コントロール出来ない力と悩んでいたからこそ、明るみになった。

それを望まず拒否していたならと思うとゾッとする。


洗脳されていた思考でも、救いを求めているのなら、神仏は救うための船を出す。

しかしその船を使い渡るのか、否かは本人の良心に託される。


多くの出来事は、思考の偏り。

何が罪になるのか知らないから引き起こされる。

だからこそ何が正しく、何が間違っているのか知ることが重要なのだ。


正しきを知る。

それは学習として、教育の中や家庭の中で育つものかも知れない。


しかし、その道理を正しく伝えきれなかった歴代の大人たちが招いたこの国の闇であるから、今ここで変わらなければならない問題として突きつけられている。


何よりも恐ろしいのは「無知」である事なのだ。

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