龍神さんとの邂逅

今から17年くらい前の話。

長女6歳頃の出来事。

次女が体が弱く、生後間も無く手術をし、定期通院していた時の出来事だった。

お母さんどうしよう。長女から連絡が来た。

なんかツボがあるんだけど…。

壺!?

何を言っているんだという話である。

よくよく聞くと、目には見えない壺が突然現れて、パニックになったらしい。


お母さんが行くまで、開けないでねと伝えるしかなかった。


長女にも同様に、視える力があった。

3歳の頃怪我したおっきな蛇さんに、ビスコあげたの!

その時、N県に住んでおり、みしゃくじ様と出会った初めてのエピソードである。

その後も面白い娘がおると、何度か現れ守られていた。


霊感バリバリの長女には、あまりにはっきり視えすぎる故に、現実にあるのか、そうでないのか区別がつかない。

だからこその部分で、コントロールをしてゆかなければならないというのが、私の悩みだった。


しかし、好奇心旺盛の当時の娘に、待ったが効くはずがなかったのである。

開けてはならない…言われても、開けてしまったのだ。




私が帰宅すると、出会ったのは狐面をつけていた、龍神さんだった。


【にしき!逢いたかったー】という、めちゃくちゃ強い想いに圧倒された。

私は当時、はっきり視える事よりもなんとなく感じる程度だった。

姿を認識しても、龍神といえば緑色の体を想像した。

日本昔話に出てくる様な、緑の龍神さんしかイメージが湧かなかったのである。


その後我が家で異変が起きる。

自分を認めてもらいたい龍神さんが、あちこち奇跡を起こした。


我が家で子供たちが飼育していたアメリカザリガニの子供の色が、蒼いザリガニとなった。

今では青いザリガニは珍しくない。

しかし、17年ほど前の当時では、かなり珍しい出来事であった。

ウーパールーパーを飼育していたのだが、幼体のウーパールーパーの姿が龍の姿に似ているためか、時々ウーパールーパーに入ることもあった。

そして私たちが『龍神さーん』というと、水槽のハジからハジへ、スーッと移動した。


明らかに、今思い起こしても、普通の出来事ではない。

いや、完全に疑っていた。

疑いながらも、受け入れようとしていた段階だったのかもしれない。


今思うと、どんなに罰当たりなんだと思うのだが…。



正月の初売りに並んでいた時、すごい吹雪だった。

寒いし暇だし…。

そして思わず、思ってしまった。

『本当に龍神さんなら、証明して!天気を変えてよ!』

その途端、空が真っ二つに分かれた。

手前側は晴れて雲ひとつなくなり、奥の空はそれまでまで同様の荒れた空となった。


それを見た途端、私は受け入れるしかない現実として、理解した。


そんなある時、近所の青い屋根を見て、突然わかった。

あ、コレだ!龍神さんの色はこの色だ。

それからというもの、私たちは蒼い龍殿と認識をしている。


蒼い龍殿は語る。

自分が何故ここに来たのか。

それはとある魂の転生を信じて、探しており、平安時代陰陽師をしていた者こそ、私であり【にしき】と呼んだ。

【にしき】は反対を押し切って、呪詛を破り、そして殺された。

しかし、それを受け入れられなかった、永遠に生きる立場であった龍殿は、いつか転生するであろうと、魂探しの旅に出る。

その途中で、新興宗教に捕獲され、壺に封印され、とある稲荷に助けられ、なんとか脱出してきた。

なので壺からでてきた時に、身を隠すために、狐面をつけていたのだという。


要約するとこんな話になる。

その辺りからだろうか。

私の中で過去世を見せられる様になる。

共に一緒にいたのは、龍殿。翡翠という存在。

暗殺されそうになった存在として、認識しているのは【惟喬親王】。


惟喬親王は、55代文徳天皇の第一皇子でありながら、母親の産まれから政治力がない故に、時の権力者藤原良房の娘。藤原明子との間に生まれた第4皇子を、生後9ヶ月で立太子惟仁親王とし、文徳天皇が31歳で亡くなった時、9歳の惟仁親王を清和天皇とし、藤原良房は歴史上初の摂政となります。


その歴史背景の中、陰陽師をしていた【にしき】さん。

命をかけて守らなければならなかった存在【惟喬親王】

私の記憶と謎解きのピースを合わせただけでしかないので、どこまで真実に近いのかは、わかりません。


唯一、わかっていること。

それは蒼い龍殿という、神である存在すらをも魅了した【にしき】という存在の陰陽師がいた事。


そして10代からあった左胸の痛み。

検査しても異常がないと言われ続けた痛みが、前世の魂の記憶としての痛みだった事。


桜が舞う、綺麗な月を見ながら息絶えた記憶。


しいて言えるのは、私の中のまだ覚醒していない当時から始まった約20年越しの謎解きの答えでしかないという現実である。


『在るべき場所へあるべき姿へ還す』

それが私の役目として、強烈にある。



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