現代から追放で永遠にざまぁ~ 『神Sランク/ユニークスキル』の『無限覚醒(たまにハズレスキルあり)』が凄すぎて、チートハーレム無双が止まらない。だけど、俺は孤高になりたいので、一人にしてほしいのだが~
ミリオン
1話 導入。主人公ボコボコ、そして、現世追放。
1話 導入。主人公ボコボコ、そして、現世追放。
俺の名前は『閃(せん) 壱番(えーす)』。
いま、俺は、職員室で、担任と進路について話している。
「東高? ……おい、『閃(せん)』……なに言ってんだ、おまえ」
「もう『勉強するのいいかな』って思ったので、一番近いところに行きます」
「おいおい、閃……こちとら、『蝉原(せみはら)』の対応だけで手いっぱいなんだよ。頼むから、変な面倒を増やさないでくれ。中三担任の忙しさ、ナメてんじゃねぇぞ、おい」
「別にナメてませんよ。志望校をかえるだけです。……じゃあ、失礼します」
そう言って、俺は、職員室を後にした。
★
夕日をながめながら、
ダラダラと、わたり廊下(ろうか)を歩いていると、
「――遅ぇよ、センっ!」
鼻ピアスの金髪が近づいてきて叫ぶ。
「待たせんなよ、ボケ! つぅか、そっちから来いやぁ! ほら、集金、集金」
「……もう、勉強時間も内申点もどうでもいいから、金は払わない」
「あぁ?!」
「お前らの相手をするのはムダだから、月に千円でいいならそっちの方が楽だと思っただけ。『東』なら、受験当日まで寝ていても秒で受かる……だから、もう金は払わない」
「……あのなぁ、セェェンっ!」
金髪は巻き舌で、ギリギリと歯を鳴らしながら、
「そういう、『気合いを見せる系』とか、マジで、いいからぁ! こっちは、今日中に、あと『17人』もまわらないと――」
「殺す気でこいよ、気室(きむろ)」
「……はぁ?!」
「死ぬまで抵抗するから、やるなら『殺す気でこい』って言ってんの」
「うぅわ、なんだ、こいつ……うっざぁ……なんかヤンキー漫画にでもハマってんのか? 鬼うぜぇえ……」
俺は、気室(きむろ)をにらみ、さめた目のまま言う。
「俺は病院で、お前は少年院ってところか……まあ、そのくらいのオチがつけば、『蝉原』もメンドくさがって、俺をシカトするだろう」
カバンを放り投げて、俺は、ギュギュっと拳(こぶし)をにぎりしめる。
人を殴ったことはない。
ケンカするような友達とか一人もいねぇ。
なぜなら、俺は孤高(ここう)だから。
「気室(きむろ)、心配するな。勝てるとは思っちゃいない。ただ、見せるだけさ。『このカモは面倒くさい』ってところを」
「勘弁してくれよ。……『蝉原(せみはら)さん』に怒られるの俺なんだぞ。あの人の『マジのヤバさ』くらい、ほとんど関わりのないお前だって知ってんだろ。……ふざけんなよ、マジで……たかが月に千円だぞ。なんのためにその額(がく)にしていると思ってんだよ……」
「分かっているさ。だから、抵抗するんだ。蝉原はバカじゃない。こっちの出方(でかた)で行動を決めるはず……だから、俺は『俺のウザさ』をみせつける」
俺は、気室(きむろ)を強くにらみ、
「今まで大人しく従(したが)っていたから気付かなかっただろ。俺は『無能のクソ陰キャ』だが……プライドだけは死ぬほど高い、ゴリゴリの厨二(ちゅうに)系男子なんだよ」
★
――5分後、
「はぁ……はぁ……」
俺は立っていた。
目の前には、カベにもたれかかって気絶している気室。
「はは……なんだ、見た目だけかよ、お前……ダッセェなぁ」
思いっきり振り回した拳が、たまたま『気室のアゴ』に当たった。
それだけで、こいつ、あっさり気絶しやがった。
「つぅか、マズイなぁ……『こっちが勝つ』ってパターンだと、蝉原も俺をシカトできねぇじゃん……ちゃんと、俺を叩き潰してくれよ、バカが……」
口の中の血をベっと吐き出しつつ、その場にへたりこむ。
と、そこで、
「……へぇ。面白い状況だなぁ。ねぇ、ユズ、そう思わない?」
「べつにぃ」
『銀髪(ぎんぱつ)&日焼け肌の男』が、
『ハデ目な美少女』を連れて、そこにいた。
男の方は、ニタニタ笑いながら、俺を観察しているが、
女の方は、ずっと、ダルそうにスマホをいじっていて、俺の方など見向きもしない。
「気室(きむろ)って、本当にケンカが弱いよねぇ……なあ、ユズ」
「しらない、どうでもいい」
「ははは、興味のなさがエグいね」
その男――『蝉原(せみはら) 勇吾(ゆうご)』は、いつだって、『思いっきり裏がありそう』な『実はまったく笑っていない目』でほほえんでいる。
「少し話をしようか。えっと、きみ、名前、なんだっけ?」
「……俺、一応、お前のクラスメイトなんだけど」
「知っているよ。けど、カモの名前に興味はない。ただ、人間の名前には興味しんしん。というわけで、お名前は?」
「……閃(せん)」
「センくんね。えっと、とりあえず、サイフ、出してもらえる?」
「……」
「ああ、大丈夫、大丈夫。これで最後だから。『君じゃなきゃいけない理由』はない。だから、今後はシカトしてあげる。けど、今回は、君じゃないといけない。わかるよね、意味。ケジメってやつだよ」
「はは……ケジメねぇ……なあ、蝉原、前から聞きたかったんだが……ヤクザごっこは楽しいかい?」
「ごっこというより、練習だね。おれは確定で『そっちの道に行く』から」
ニコォっと『今日一の笑顔』を見せて、
「宇宙一の極道(ごくどう)に、おれはなる!」
「……はは……ぁ、そう……恐いねぇ……」
「さんきゅー。恐いって言ってもらえるのが一番ささる。おれは、そのために生きているから。さて……それじゃあ、そろそろサイフ、出してくれる?」
「……イヤだ。拒否(きょひ)する」
「念を押すねぇ。まあ、いいけどさ。つかれるけど……これも仕事だから、ね、っと!」
そう言って、蝉原は、俺の腹に右足のツマサキを入れる。
「うぐっ!!」
め、めちゃくちゃ痛ぇ。
的確に急所を狙ってきやがった……
「ユズも蹴(け)る?」
「そんなのに、触(ふ)れたくない」
「しんらつだねぇ」
言いながら、蝉原は、ギュっと握った拳を、俺のみぞおちに、ドスっと入れた。
「うげぇ……」
死ぬほど痛ぇ。
普通に、ゲロを吐いちまった。
そんな俺に対して、ユズが、
「きっしょ……くっさ」
視線はスマホに固定したまま、鼻で笑った。
そんなユズを尻目に、蝉原が、
「お金、とるけど、いい?」
「イヤだ……けど……もう、物理的な抵抗はできない」
「だよねー」
言いながら、蝉原は、俺のスラックスからサイフを抜き取って、
「センくんは『気室(きむろ)に負けた』って事にして欲しいんだけど、いいかな? 了承(りょうしょう)してくれるなら、小銭(こぜに)は勘弁(かんべん)してあげるけど?」
「……サイフだけ……おいていってくれるなら、いくらとってもいい」
「ん? このサイフ、なんかあるの?」
「親の形見(かたみ)……『二年前に死んだ母親』がくれたもん……」
「へーそうなんだ」
そう言うと、蝉原は、
「そりゃ」
俺のサイフを地面に落として、ふみつけた。
「ふまれちゃったね、形見」
「……そうだな」
「怒る?」
「……ああ、怒ってる……かなり……自分でも、おどろくくらい」
「そっか。良かった。それでも立ち向かえない恐怖……それが、おれ、蝉原勇吾。よろしく、どうぞ」
「……」
「いい目するね。なんだか嬉(うれ)しいなぁ……」
――と、そこで、
それまでスマホを見ていたユズが、俺に視線を向けた。
「マジでダッサ……あんたみたいなのって、生きてる価値あんの?」
「……さあな」
「ウザいんだけど、その受け答え」
言いながら、ユズは、俺のサイフを踏みつけた。
グリグリと、カカトで地面に押しつけてから、その足で、
「ぐぅっ」
俺の頭をふみつける。
「あんたみたいなゴミを見ていると、イライラするんだよぉおお! 死ねよぉ、めざわりだからぁ! ダッセェ髪型のブッサイクなクソ陰キャぁあ! 生きてる価値ないんだよ、てめぇも、てめぇみたいなカスの親も、ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶぅ!」
その光景をニタニタと笑いながら見ていた蝉原が、
「あれー? ふれるのもイヤなんじゃなかったの?」
「……ムカついたから、別腹ぁああ!!」
ユズは、ヒステリックにそう叫びながら、
俺を、さらに、『強い目』で見下して、
「あんたさぁ……親の形見をふまれたんだから、もっと抵抗したら?」
「……抵抗か……しているさ、精一杯(せいいっぱい)……さっきからずっと、俺は『自分の感情』に抵抗している」
「ぷっ……だっさぁ……なに、今の、カッコいいの? カッコいいと思って言ったの? きっしょ、くっさ……こういうの、なんていうんだっけ? 確か、あったよね、こういうヤツを指す言葉。ねぇ、ユウゴ」
「厨二(ちゅうに)のことかな?」
「ああ、それそれ」
そこで、ユズは、
「クソ厨二、マジで死ね! くるしんで死ね!!」
そう言いながら、俺の顔面にけりを入れた。
――と、その時だった。
――空に『城』が出現した。
「えっ?! な、なんだ……し……城?」
さすがに困惑している様子の蝉原。
俺もおどろいている。
――『まるでラピ〇タみたいだ』
なんて思った直後のこと、
続けて、俺らの目の前に、
またもや異常事態が発生。
バリバリィっと音をたてて、
『でっかいゲート』が出現した。
そして、そのゲートは、
シュゴオオっと、蝉原を吸い込もうとしはじめる。
「ちょっ……はぁあああ?! な、なんだ、これぇええ! す、吸われるっ! はぁあああ?! うそだろぉおお!」
そう叫びながら、蝉原は、ユズを突き飛ばして、
とにかく『自分だけは助かろう』と、
必死になって、その場から駆(か)け出した。
『ナゾのゲート』の『吸引力』に抵抗して、とにかく全力ダッシュ。
しかし、
――くくくっ……逃げられないよ、蝉原――
そんな声が、俺の脳内で響いた。
その声は、俺だけではなく、
蝉原にも聞こえていたようで、
「な、なんだぁあ! 幻聴(げんちょう)かぁ?!! 幻聴に幻覚ぅ?! なんでだ?! おれ、薬はやってねぇぞ!!」
みっともなく悲鳴をあげて、
とにもかくにも全力疾走。
『きゃあああああ!』というユズの『尋常じゃない悲鳴』が聞こえた。
反射的に、そっちを見てみると、ユズが、『ゲート』に吸い込まれていった。
「おいおいおい……あのクソ女、吸われちまったよ……マジかよ……」
――その後も、『ゲート』は、
シュゴォオオっと、蝉原を吸い込もうとする。
「う、うわぁ、ああああっ!! いやだぁああ!」
近くの木にしがみついて、
どうにか、吸い込まれないようにしようと必死。
その光景を、俺は黙(だま)って見ていた。
見ているしかなかった。
不思議と、俺には、『ゲートの吸引力』が働いていない。
だから、余計に意味が分からない。
いや……あの……ほんと、なに、これ……
……そう思っていると、
頭の中に声が聞こえてきた。
――センエース。お前に究極のチートをくれてやる――
「ち……ちーと……? てか、誰……え、これ、テレパシー? なに、この状況……」
――お前が手にするのは、蝉原勇吾を奴隷(どれい)化する力――
「蝉原を……奴隷……」
――これからお前には『170億年後の未来』にいってもらう。『蝉原のすべてを自由にできるチート』を使って、『ハイファンタジー化した未来の地球』を思うぞんぶん楽しむといい――
「ハイファンタジーを楽しむ……? え、マジ……? 俺、昔から、この『クソみたいな現実』から卒業して、異世界に行くのだけが夢だったんだけど、え、ほんとに……夢が叶う?」
だいぶワケわからん状態だが、
その話がガチだとしたら、
ぶっちゃけ、すげぇ嬉しいんだが。
――異世界ではない。あくまでも『この星の未来』にいってもらう――
「未来……マジか……」
――『天の城』が出現したことで、地球には、ファンタジー世界の特権(とっけん)である『レベルアップシステム』や『魔法を使える権利』や『モンスターの自動ポップシステム』が発動した。いずれ、この星は、完全なるハイファンタジー化を遂げる。ただ、完全になじむまで、時間が必要。というわけで、『すべてが整(ととの)ったあとの未来』に行ってもらう――
たんたんと解説(かいせつ)する謎の声。
続けて、
――センエース。お前に『お前がのぞむ【理想の世界】で生きる権利』をやる。『最高のチート』も与えてやる。ただし、その対価(たいか)は払ってもらう――
「ぇ……た、対価……って……なんだ?」
――お前には、『??』になってもらう――
「……ぇ、なんて?! ……聞こえんかった! もう一回!」
――さあ、はじまりだ、センエース。今日から君の『ファンタジー冒険活劇(ぼうけんかつげき)』が幕(まく)をあける――
「ちょ、あの……まって! ほんと、聞こえなかったんだって! 俺、『何』になるって?!」
と、そこで、蝉原の力がつきて、
「ぐぁああああああああああああっ! いやだぁああ! 助けてぇえええええええ!」
すさまじい吸引力によって、『ゲート』の中へと吸い込まれていく。
蝉原が消えた直後、
急に、『ゲートの吸引力』が、俺にも牙をむく。
「ど、どわぁああ! ちょ、ちょ、まって!! 未来に行くのは良いんだけど、俺が払う対価が、何なのかだけは教え――」
つい、反射で逃げようと努力してしまったが無意味。
俺も、蝉原同様、あっさりと、
『ゲート』に飲み込まれてしまった。
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