第4章
【第41話】伝説の魔術師
ついに魔皇帝軍の無数のガレー船が村の海岸に上陸した、と思ったそのときだった。突然、閃光がほとばしった次の瞬間、まるでひとつの山ほどもある巨大な火球が現れて大爆発を起こした。僕たちは眼下の海に現れた巨大な閃光に目を細めた。そのとき、閃光に照らされた
「きゃあ! 何が起きたの?」
アリサが右手で目元を覆いながら叫んだ。
巨大な火球は次々と現れては大爆発を繰り返した。それは徐々に海岸から沖合いへと向かっていく。しかし、不思議なことに爆風を感じなかった。
「これは魔皇帝の攻撃なの?」
僕は眼下の海上から次々と放たれる閃光に目を細めながら
「さすがは我が息子の嫁レイリア。魔貴族プランローズ家の令嬢じゃ」
「こ、これが母さんの実力なのか!」
海岸から海上へと移動しながら起こる大爆発は、やがて巨人たちが引っ張ってきた魔法の島にも及んだ。4本の腕をもつ屈強な3人の巨人も母さんが放つ大爆発に巻き込まれて見えなくなった。
「す、凄い! さすが私が尊敬するレイリア様! これが真の実力なのね!」
アリサが眼下で繰り返される大爆発を見つめながら恍惚とした表情を浮かべた。
「母さんの出身であるプランローズ家って、いったい何者なんだ?」
僕は大爆発の閃光を見つめながら呟いた。
「プランローズ家は、かつて伝説の勇者と共に旅をした
マルコロが僕の隣でボソリと答えた。
「それにしても、まさかレイリア様がこれほどの魔力の持ち主だとは思わなかった。あの清楚なお姿には似合わないこの強大な魔法······見ていて恐ろしくなる」
マルコロが大爆発の閃光を見つめながら呟いた。僕もマルコロの呟きを耳にしながら、いつまで大爆発が続くんだろう、と思った。次の瞬間、僕は信じられない光景を目にした。
「う、嘘だ! そ、そんなことあるわけがない!」
僕は驚きとショックのあまり大きく目を見開くと、ポカンと口を開けたまま眼下の空中を移動する物体を凝視した。
「え! 嘘! もう凄すぎて、どうしよう?」
アリサも気がついたらしい。狂喜の表情を浮かべながら意味不明な言葉を叫び始めた。
「こ、こんなの、初めて見た······し、信じられん」
マルコロも気づいたらしい。そう呟いたあと黙り込んでしまった。
僕は、アレンはどんな反応をしてるんだろう、と彼の顔を見てみた。アレンは、無言のまま、口を開けて呆然としていた。よく見ると、アレンの開かれた口からよだれが垂れていた。
そうなるよな、僕は思った。
「わしさえ、あんなことはできん。いったい、なんなんじゃ······」
魔皇帝軍の
そのとき、テラスの一角にまた魔皇帝ネイスメイスの
「魔王オリスチンよ! 貴様の配下には何と恐ろしい奴がいるんじゃ! あやつのせいで我がガレー船団ばかりか島を引っ張ってきた巨人たち、さらに魔法の島まで壊滅してしまったではないか! どうしてくれるんじゃ!」
「魔皇帝ネイスメイスよ、わしも驚いておるんじゃ! せっかく魔界から侵攻してきたのに、開戦早々、巨人たちや軍団を壊滅させてしまって申し訳ない!」
魔皇帝ネイスメイスの
「そんな謝罪はいらぬわ! 魔王オリスチンよ、あの強力な核爆裂の魔法を使いながら空を飛んでいる女は誰じゃ!」
「おお、あれか。あれはの、わしの息子の嫁レイリア・プランローズじゃ」
「プランローズじゃと!」
「ど、どうしたんじゃ、ネイスメイス!」
「プププ······」
「プププ?」
「プランローズと言えば、我が先祖である初代魔皇帝を倒した伝説の
魔皇帝ネイスメイスの
「降伏します」
魔皇帝ネイスメイスは、
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