第6話 爆乳美女の前で全裸放置
「てめぇの親父が借金五億円を作って蒸発した。てめぇが代わりに払うかでなけりゃ内臓全部売ってもらうぞ」
「はい?」
情報が俺の脳内キャパシティを一瞬でオーバーフロー。
理解力が追い付かない俺は取り合えず、
「あの、とりあえず服着てもいいですか?」
リビングでテーブルを挟んで三人の女性と向かい合う俺だが、未だに全裸だった。
ちなみに相手の三人はソファに座っていて、俺は絨毯の上に正座している。
このいかんともしがたい高低差が、今の俺らの立場をも表している気がしてならない。
「家畜が服を着るかよ!」
「そんな、若い女性の前で全裸ってどんな羞恥プレイ」
「ブタがしゃべってんじゃねぇぞ!」
顔にクッションを投げつけられて俺は、
「ぶひぃいいいい!」
と叫んだ。
「とにかく親父がいないんじゃガキのてめぇに払ってもらうしかねぇんだ。もっともてめぇの内臓全部売っても五億にゃ程遠い。でも安心しな、うちの組への借金は一億円だけだ。内臓全部換金すれば元金くらいにはなるだろうぜ」
それだけ言って、ロングヘアーの女性は立ち上がる。
「じゃああたしらの名刺、置いて行くぜ。金が用意できたら連絡しな」
三人は懐から取り出した自分の名刺を床に落として、足早に立ち去ろうとする。
あまりに一方的で、強引な話に俺は反論する。
「ぶひー! ぶひひー! ぶひぶひー! ブぶブー! ぶぅぅゥううう~~!」
ロングヘアーの女性が振り返り、四つん這いになった俺へ怒鳴る。
「はぁ!? 『そんなの酷い! あんまりだ! 親父の借金は俺に関係無い! ていうか内臓とか売りたくねぇし! それに病気の妹一人残して死ねません、どうかお慈悲お~』だとぉ?」
「「姐さん今の解るんですか?」」
「わからねぇお前らが三下なんだよ。安心しな、妹の内臓もきっちり売りさばいて兄妹仲良く処分してやるぜ、じゃあな」
黒服の三人組みは乱暴にドアを開けて、出て行ってしまう。
俺はと言うと、しばらく全裸四つん這いと言う情けない格好のまま、動けなかった。
しばらくしてから無表情のままテレビをつけて、ありもしない煙草を吸うジェスチャーをして、天井を見つめてから、
「おおおおおおおおおおおおおおのおおおおおおおおおおおおおおお!」
床に倒れてのたうちまわった。
とりあえず三人の名刺を拾ってみる。
顔写真、と言ってもロングヘアー以外の二人はサングラスをかけたままの名刺を見ると、
ロングヘアーの女性 : 向日葵蜜柑(ひまわり・みかん) 二一三三年生まれ
ショートカットの女性 :桜桃(さくら・もも) 二一三三年生まれ
ミディアムヘアーの女性:牡丹林檎(ぼたん・りんご) 二一三三年生まれ
「ど、どんだけ可愛い名前してんだ!? って、え?」
あらためて名刺を読みなおして、俺は目を疑った。三人の生年月日だが……今年は二一五〇年だ。つまり、
「俺と同い年かよ!? って、そんなことはどうでもいいんだよ!? どうすりゃいいんだよ!」
また床を転がりながら喚く俺。するとその時、テレビから愉快な声が聞こえて来た。
『はっはー♪ 世界中のゲーマー諸君! 今日は私からナイスなプレゼントがある!』
『ゲームメーカー、トライアングル・エニックスが本日、新作ゲームのPVで次のように発表しました』
ニュースキャスターの顔が消えてテレビ画面に、トライアングル・エニックス、通称トラエニの社長が顔を出す。
『単刀直入に言おう。今週発売のオンラインRPGハーフ・ハンドレッド、これのクリアに賞金を出そうと思うんだ。名前の通り、全五〇ステージに及ぶステージの各ボスを最初に倒した人にはそれぞれステージの数×一〇万円の賞金を。そして最初にラスボスを攻略した人には特別に』
カメラが引いて、社長の背後に巨大な垂れ幕が落ちて来た。
『賞金一〇億えーん♪ ふるって参加してくれたまえ! 詳しい参加方法は』
再びニュースキャスターが映って、スタジオで物議が始まる。
でも俺の耳には届かない。
だって、
だって、
だって、
「これだあああああああああああ!」
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