日の丸守護神!

クマねこ

プロローグ&第1話

この家には、もう1人子供がいた気がするんだ。

ハヤト兄ちゃんと、私ともう1人。誕生日を大切にして、私に月をくれた子が。この人は…あの人じゃない。





ピピピピッピピピピッ

電子音がなる。今はまだ空暗いじゃんか。寝かせてよ。

「疏楽、起きろ」

なんだろう。

「お父さん帰ってきたから」

ブンブンと頭を振って眠気を飛ばす。

「おはよぉ、宙兄さん、隼人」

私はにっこり笑って2人の顔を見た。宙兄さんは気持ち悪いほど笑みを浮かべている。いつも。5年前の、あの日から。



「荷物はこれだけか?」

お父さんが荷物を運んでいる間、私と宙兄さんと隼人は空を眺めていた。

「綺麗な空だねー」

「星が綺麗だな」

「何だか…吸い込まれそうだね」

突然、私たちを白い光が覆った。

「なに?!」

雲にのった人が近づいてくる。

「はじめまして。疏楽。私はアマテラスです。この世の神として、あなたを迎えにきました。」

何言ってるんだろう…度が過ぎた厨二病の方とか?

「えーっと、迎えに来られる理由が分からないんですけど」

私何もしてないと思うよ?

「えーっとね、あーっとね、わたし、説明下手なんだよね。だからツクヨミよろしくぅ!」

「何で俺なんだよ!?俺も下手だっての!!」

「私だって下手だよ!!」

着物っぽい服を着た女の人と男の人が喧嘩している…私たちは何をみせられているんだろう。

「あのー」

見かねた隼人が声をかける。

「さっきからなんなんですか?突然現れたと思ったら妹を連れて行くとか言って」

そう言いながら私を背中に庇ってくれる。

ありがとね。あんまり歳変わんないから隼人って呼んでたけど、隼人兄にしよっかなぁ。

「あー、えーっと、俺はツクヨミ。俺は夜を司る神なんだ。で、お前をアマテラスの子供神にする。」

「何言ってんのかわかんないんだけど」

そう言ってツクヨミを睨みつける。

「うっわっこわぁー」

大袈裟に怖がって見せるツクヨミ。怖いのはお前の頭だよ!

「そういうとこほんと宙そっくりだよなー」

なんのことかわからないけど、さっさと帰って欲しいな。

その時、パッと私を抱き抱えて、雲の上に乗せられた。

「何すんのよ!ちょっと!!!!」

暴れる私には目もくれず、ツクヨミは宙兄さんをじっと見る。

「もうすぐ…帰ってこれるよ、宙」

少し寂しそうに、優しい目で宙兄さんに話す。相変わらず宙兄さんはアルカイックスマイルで無視だ。

「疏楽!!」

隼人が叫ぶ。

「隼人っ!」

ひんやりとしたツクヨミさんの手を当てられ、私の意識は無くなった。どこか遠くで、隼人の叫び声が聞こえていた。






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