見えない力を理解して欲しいと思っていたら異世界に転生してしまった…。
唯人
プロローグ
第1話 祖父に引き取られて…。
俺の名は霧島海人(かいと)22歳。
物心がつく頃から高校に入学するまで祖父と山奥で二人っきりで生活していた。ちなみに高校は近くに無かったため全寮制の高校に入学して祖父とは離れて暮らして長期の休みには帰省していた。
祖父は武術と気功の達人で、小さい頃病弱だった俺に気功を教え、元気になってきた小学生の頃になると合わせて合気道のような武術や中国武術の型(套路、とうろ)を教てくれていた。
祖父は中国帰りの父(俺の曽祖父)の影響で中国武術を中心に気功や日本の合気道の元になった古流柔術も学んだ俺から見たら達人だった。最も俺から見たら祖父と交流のある人は達人ばかりに見えたので実際はどうだか分からない。
祖父に色んな道場に連れて行かれそこの先生に手ほどき(というか遊んでもらった?)を受けたがどうやって投げられたかさっぱり分からなかったので。祖父曰く、「色んな武術を体で感じる体験するだけでも価値がある」と生前言っていた。
高校在学中に祖父が亡くなったが、寮生活をする金銭くらいは残してくれていたので問題なかった(おそらく自分の死後の事も考えて全寮制の高校を勧めてくれていた)。
寮生活では一応友達と呼べる人間は居たが気功や武術ばかりに関心が有る自分とは価値観が全く合わずあまり会話に加わる気になれなかった。
せめて気功くらいは理解して貰いたくて話してみるがテレビの影響か「やらせやろ?」とか言われて変わり者扱い。かといって腕力をひけらかす気もさらさら無く(あまりにも多くの達人を見てきたので自分がやったら唯の暴力になると自覚)、気功の練習以外の時間を小説やゲームにのめり込んでいった…。
ちなみに両親だが、小さい頃に自動車事故で亡くなってしまい、祖父が3歳の俺を引き取って育てたらしい。自分にはほとんど記憶に残っていない。
高校卒業後、コミュ障に近い自分が気功教室など開けるはずも無く(当然武術を教えられるほど習得もしていない)ので近くの工場に勤める。人付きあいの苦手だった自分は流れ作業を淡々と出来る工場が良いと選択していた。仕事中でも呼吸法は続けられるしね。
そして休日には近くの自然に行って気功法や登山をしていた。
人ごみの中でも孤独感を抱いている自分だったが、以前の中に入って気功をしたりボーッとしていると孤独感が消え、周囲と一体感を感じることが良くあった。
そんな中でファンタジー世界へのあこがれが日々強く感じる自分がいた。
見えない感覚を誰からも理解されないこの世界よりも「魔法が当たり前」のファンタジー世界の方が自分は絶対肌に合う!…と、日々妄想を膨らませていた。
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