強感

御陵 詠

序章



私は、マゾヒズムに魅入られた。


例えば精神的苦痛に恍惚とし、例えば肉体的な苦痛に快楽を見出す。


それがマゾヒズムであり、マゾヒズムを持つものは、マゾヒストと呼ばれる。


では、私はマゾヒストだ。


とりわけ好みは精神的苦痛であり、苦痛を感じたときには、骨の髄から痺れてしまう。


肉体的苦痛も、決して嫌いではない。


それは私の体に刻まれた傷を見れば明らかだ。


この傷は大抵が自慰行為の後であり、友人達からは『拗らせてるよね』と言われがちだが、本当にそうだと思う。



私は感性からして拗らせている。


これから綴る物語は、そんな私の感性を知らしめるための物語になるだろう。

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