#10「鎖の少女」
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm8619805
YouTube:https://youtu.be/zsUmFuFOG7I
作詞:のぼる↑
作曲:のぼる↑
編曲:のぼる↑
歌唱:初音ミク
第10回で紹介したいのはこちら、『鎖の少女』である。製作者ののぼる↑は、VOCAROCK系統の楽曲で知られるボカロPである。『恋はきっと急上昇☆』や『モノクロ∞ブルースカイ』『白い雪のプリンセスは』『ショットガン・ラヴァーズ』などがミリオン達成している。2015年に一度、音楽活動を終了することを発表したが、2017年に『ハウリング・マイハート』の投稿をきっかけに活動を再開しており、現在も活動を継続している。2021年の「マジカルミライ」ではクリエイターズマーケットに出展しており、ベストアルバム「LOST STORY」を頒布していた。余談になるが、筆者はこのマーケットでのぼる↑本人と初めて対面した経験がある。訪れたファン一人ひとりに丁寧な対応をしていたのが印象に残っている。
話を戻したい。今回ピックアップした『鎖の少女』もまたのぼる↑の代表曲の一つとして挙げられる。のぼる↑の持ち味であるギターロックな曲調に切ないピアノサウンドとシンセサイザーが響く。だが、私はこれがこの曲の真骨頂ではないと考えている。
この曲の投稿者コメントにはこのような文章が書かれている。
「今回はテーマ性の強い曲にしてみました。人生全てを掌握された。そんな少女の。」
人間とは本来誰にも縛られずに生きられる自由を持っているはずである。しかし、誰かの期待や呪縛によってそれを感じることのできない人生を送っているという人は少なくないはずだ。そんな心情をこの曲は歌っている。歌詞も見ていこう。
「今日は少し下がった 破り捨てたい
「期待を超えられず 傷が増えてく」
「振り向けば捨ててきた 友達とか夢とか」
誰かの期待に応えるために、自分の人生を捨てるしかないという苦しみが現れている。こんな状況を「わたしはアナタの
「誰のために生きているのでしょうか
コタエは目の前にある
わたしの未来を奪うなんて
そんなの許さないから」
最後のサビでは、鎖に縛られた状態から抗おうとする、心情の変化が起きる。この抵抗があることによって、理不尽な制限に苦しむ人々にとってのアンセムになったのではないかと考える。
筆者は度々、ボカロ曲の「無機質さ」について考えることがある。この曲では、その「無機質さ」、言い換えればボカロの「無感情さ」に不特定多数の「鎖の少女」たちの感情が入り込むことで、より強いメッセージ性を引き出しているのではないかと感じる。この曲が多くの「鎖」をほどいてくれることを祈りたい。
最後になるが、もう一つだけ話題を上げさせてほしい。2017年の活動復帰以降、のぼる↑の活動形態として、オリジナル曲のリメイクも積極的に行っている。この『鎖の少女』もリメイクされており、より洗練されたサウンドを堪能できる。リメイク版も合わせて聴いてみてほしい。
リメイク版:https://www.nicovideo.jp/watch/sm36121402
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