#8「中央線トワイライト」


ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm32456971


YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=lfvqq41E0Nk&t=2s


作詞:なきゃむりゃ

作曲:なきゃむりゃ

編曲:なきゃむりゃ

歌唱:結月ゆかり


 皆さん、仕事や学校から帰るときの電車はどこの路線を使っているだろうか。もし中央線に乗っている、乗っていたという方がいれば、親近感の湧く一曲になるかもしれない。

 今回紹介したいのはこちらの一曲、『中央線トワイライト』である。製作者のなきゃむりゃは『幾望の月』などの楽曲で知られるボカロPの一人である。猫村いろはV4の公式デモソング『機械仕掛けの歌姫』も手掛けており、変拍子にクールなギターを合わせた楽曲に定評がある。またギタリストとしての一面を持っており、バンドに参加したり他のボカロPの曲にギターとして参加するなど、幅広く音楽活動を行っている。

 そんななきゃむりゃが手掛けた『中央線トワイライト』だが、クールな印象や激しい変拍子といったキャッチ―な要素は皆無な一曲になっている。

 ギターやキーボード、ハーモニカのサウンドが奏でる軽いメロディーからは、夕暮れの帰路を感じさせる柔らかさを感じる。そこになきゃむりゃの持つVOCAJAZZ的なお洒落さが加わることで、ありふれた日常にある美しさを味わうことができる。

 歌詞にも触れていきたい。歌詞には、恋人に会うため中央線に乗って帰路を急ぐ心情が綴られている。


「沈みゆく太陽の

 輪郭をなぞっては

 君の住む街まで

 コトコト向かうよ」


 電車の動く音を表現するとき、多くは「ガタンゴトン」という擬音をイメージすると思うが、この歌詞では「コトコト」という表現を使っている。「コトコト」という優しい表現を使うことで、帰りの電車に抱く柔らかさ、気持ちの軽さを印象付けることができ、非常にかわいらしい言葉選びだと感じた。


「中央線走るよ僕ら乗せて

 それぞれのストーリーを

 斜陽が彩りを添えてく

 ささやかな時間」


 仕事や学校を終えて、夕方の電車に乗っているときの小さな幸福感がこの歌詞には詰まっている。家に帰る人、大切な人と待ち合わせに向かう人、皆何かを楽しみにしながら乗っているのではないだろうか。そんな小さな幸せを「斜陽が彩りを添えてく」時間と言い換えている。なきゃむりゃの歌詞の良さにもぜひ注目してもらいたい。皆の幸せを乗せながら、今日も中央線は走っていく。

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