2023/04/07 帰路

「ねぇ、根本くんってどんな人?」


桜は片岡と欅並木を並んで

帰路についている


「良いやつそうだと思う」


片岡らしいフワッとした答えだ


「私にだけ敬語なのなんで?」


「うーん、緊張してたんじゃない?」


片岡に話しても


何にも解決しなさそうだと桜は思う。


2人が並んで歩く欅並木は


まだまだ新緑が芽吹く気配もない


「そういえば根本くん

  新入生代表とかすごいね」


「へー、そうなんだ」


片岡の『全然知らなかった』みたいな


キョトン顔が妙に鼻についた桜は


少し悪態をつく


「片岡って人に興味なさすぎじゃない?」


「そんなことないよ

 今だってこの欅の木が

    ぜんぶ桜の木だったら

 さくら喜ぶだろうなって考えてたし」


そう言って片岡が桜を見つめる


夕日に照らされた片岡の顔が


火照って見え、、、








ないっ!!!!

火照ってみえない!!!

全くもっていつも通りの顔だ


『片岡 壮一』はこういう事を誰にでも


平気で口にする男だ。


桜は、片岡の鈍感で


当たり障りのなさそうなところが


とても良いと思っている


片岡といると


ごちゃごちゃ考えなくて済むからだ


「根元は悪い奴ではないと思うよ」


「うーん、そっか」


片岡がそう言うならそうなんだろうと


自分に言い聞かせ


夕日に照らされてオレンジになった


欅並木を眺めた





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