東京編 第3話 六本木
六本木ヒルズ
このビルには多くの商業施設が今もそのまま取り残されており、商品の代わりに武器を持った民兵の溜まり場となっている。外を出る際には必ずボディガードが2人以上連れていかねばならない。そうしなければ集団リンチにされるだけるだけである。俺以外の多くの人も理解しているのか、集団で行動するのが常識。そのためこの東京には必ずどこかしらの勢力に加盟しなければならない暗黙のルールがある。
そんな状況で俺達は外からの帰還を果たした。ヒルズの前には門番が睨みながら
「身分証明書を」
「貴様、この方は我らを正しき方向に導く唯一無二の指導者 北上晃様であられるぞ」
いちいちボディガードの説明も鬱陶しいな。
「いいからどけ。時間がないんだ」
そう言うと門番どもは深く謝罪して汗を流しながら弁明していたが、それを無理矢理退け俺はビルの中にへと入っていった。
電気はほぼ動いていないため止まったままのエスカレーターを登ると、民兵供が先程の騒々しさから一変して、綺麗に整列した後敬礼している。
それを無視して目標の最上階を目指して歩いていった。そして最上階になると荒れていたフロアから一変、木材で作らせた大きな門と民兵ではなくスーツを着た男性が深く一礼して、
「北上様。皆、参謀本部にお集まりです」
「そうか」
そして木の門を開けると窓ガラスで東京の一面をバックにしながら巨大なテーブルの周りに重臣が座っており、今俺はその入り口の対面にある立派な椅子に腰掛けた。
「兄貴!出るなら俺たちにも伝えろよ。朝から居なくて驚いたぞ」
このうるさいガキは北上武蔵。軍団の大将で俺の大切な弟だ。大規模デモ活動とのき俺の右腕として支えてくれた。だか、少し、、、いやかなりの馬鹿で血気盛んのバーサーカーだ。
「ボディガードを付けたんだ。別に問題ないだろ。それより皆に集まってもらったのはこれから起こる東川率いる旧政府との決戦に向けた作戦会議を行う為だ」
「いよいよ始まるのですなね」
「あぁ、そうだ。矢田参謀総長」
こいつは矢田南。デモ運動など多くの作戦を手掛けた東大卒の天才。俺の後輩でもある。
「武器に関しては準備終わったぞ!」
この陽気な女が東工大卒で科学兵器や武器開発を行うプロフェッショナル、中村亜美。
そして今はいないがスパイ活動をしている平田亮の4人が我が勢力の幹部達だ。
「武器と言ってもお前の武器を兵士達は扱えるのか」
「大丈夫だ、晃。この武器は猿でも使えるように改造しておいたから」
「おい、兄貴のことを呼び捨てするな!」
「ガヤガヤうるさいぞ。お前には関係ないやろ」
「なんだと!」
「皆さんお静かにお願いします。今対立して何の意味があるんですか」
「矢田の言う通りだ。我らには時間がないことぐらいわかるだろ」
そう言うと2人供黙って座ったので
「それで、今後の作戦についてだが、矢田。説明を頼む」
「承知いたしました。まず、こちらの地図をご覧ください」
そこには23区が大きく書かれていた。
「我々は現状、東京の半分を勢力として保有しており残りは旧政府と財閥勢力です。なので兵力を一つに集中させれば旧政府の本部がある国会議事堂と官邸を包囲することは可能でしょう。しかし、スパイの平田からの偵察によれば議員達が2つの施設を要塞化していると言う情報が入って来ました。実際確認したところ多くのバリケードで固めており、議員達も立てこもっているせいで突破は難しいでしょう」
「旧政府の総兵力は分かるか」
「数で言えば3000人程度」
「武蔵、俺たちの現状の兵力は」
「総動員すれば、10万人程度出せる」
「やはり全盛期の300万人には到底届かないな。皆他県に亡命していったのが痛いな」
「あの頃は全国から集っていただけだからな。今は皆んなそれどころじゃないんだろ。ただ我が軍もそれを予め想定し対策して置いた。量で勝てないなら質だ。民兵達には厳しい訓練をさせているから、今では自衛隊と同等規模にさせてやったぞ」
「確かにそれだけの兵力があれば、参謀総長からの立場で言えば作戦の遂行については特に問題はない。ただ懸念があるとすればその兵力で敵の防衛網を突破できるかだな」
「それについては亜美と打開策を用意しておいた」
「あぁ、まだ試験段階であるが"秘密兵器"の実戦投入が後もう少ししたらできるだろうよ。それさえあれば要塞も一瞬で無力化できるよ」
「秘密兵器?兄貴、それは」
「それはまた後から伝えておく。その秘密兵器はいつ届く」
「後、1週間ぐらいやな」
「ならば、1週間後この作戦を結構する。各自準備を整えておいてくれ。」
「なら、俺は軍団を今の内に統一しておくぞ」
「私ももう一度作戦を練ってみる」
「あたしは早くラボに戻らないとな」
「兄貴はどうするんだ」
「こっちも少し準備がある。この作戦に失敗は許されない。必ず成功させるぞ。では皆、後は任せたぞ」
そう言うと俺はまた足速に出ていった。
残った三人は、
「俺は兄貴の心の中いまだにわからん」
「私もだ」
「あたいもだよ」
と3人とも不思議そうな目をしていた。
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