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そのお花屋さんはどうやらやよいのお家だったようだ。
やよいはどこかに出かけようとして、お店の中から出てきたところで、お店の中にいたさなぎとばったりと出会った。
さなぎはみらいお姉ちゃんとしずかお父さんと一緒にお花を買いにきたところだった。
のぞみさんからお花のことを教えてもらったり、のはらの家のお花畑を見たりして、以前よりもお花に興味を持っていたみらいはとても楽しそうにお店の中のお花を飽きることなく眺めていた。
さなぎはお父さんの横に立っているだけだった。
「あ」
そんなさなぎを見て、やよいちゃんはそう言った。
さなぎは目を大きくして、少しだけお父さんの影に隠れるようにして、その場を(いつものように)やり過ごそうとした。
でもそのとき、さなぎの心の中で「だめだよ、さなぎちゃん。教室のみんなにあったら、ちゃんと挨拶をしなくちゃ。それくらいのことができないと、この先、いつまで立っても『友達』なんて、一生つくることができないよ」と言う声が聞こえた。
その声を聞いて、最初、さなぎは妖精さんがそうさなぎに言ってくれているのだと思った。
でも違った。(妖精さんはお花に飽きてしまって、さなぎの洋服のポケットの中で『すー、すー』という寝息をたてて眠ってしまっていた)
その声は『のはら』の声だった。
その声を聞いて、さなぎはこの間、のはらに教えてもらった『友達をつくるための夏休みの作戦』を思い出した。
作戦その一。
教室のみんなにあったら、きちんと自分から挨拶をすること。
「こんにちは、やよいちゃん」
それを思い出したさなぎは自分の声で、ちゃんとやよいちゃんにそう挨拶をすることができた。
さなぎに挨拶を言われて、やよいちゃんはその大きな目をぱちぱちとさせて、とても驚いたと言ったような表情をしていた。
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