空気の読めない流行カジリの老人は今日だけ違う道を歩き迷子になってしまった。

 今日限りでいつもと同じ散歩ルートを卒業し、光駅ヘ直行した。


 それから、雲駅より前で空気の読めない流行カジリの老人を見るものはいなくなった。隣の世界の駅に足を踏み入れたのだ。


おばさんが落としたと思われる、私とおそろのだるまキーホルダーが雨駅に落とされていた。

「今までありがと、おばさん」

女子高生の頬には、一粒の涙が流れた。





                                完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空気の読めない流行カジリの老人は毎日同じ道を歩く あおりげる。 @ya_ma_aoi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る