I know 2
川谷パルテノン
第1話 ハングドマン
「いただきます」
「はいどうぞ」
当たり前のように出来上がった朝食。ごはんみそ汁目玉焼き。一人の頃は食べない日のほうが多かった。ミサキと結婚して本当によかった。
「おはようございます
「なんだお前か」
「素っ気ねえ。まあいいすわ。頼まれてた資料見つけてきました」
「仕事は見つかったのか」
「ここが本職です」
「雇った覚えはない。対価を払ってるだけだ。さっさとまともな仕事を見つけたらどうだ」
「鮠眉さん、俺はこれでも責任感じてるんです」
「お前が何を背負っても意味などない」
「冷てえ。鮠眉さんが鬱陶しがっても俺は付いてきますからね」
「勝手にしろ。便利なうちは使ってやる」
「ところで三年前の殺人事件なんて何を調べてるんです」
「お前はコレを調達するだけでいいと言ったはずだ。用が済んだなら帰ってくれ」
「愛想無え。はいはい。また何かあったら呼んでくださいね。この
御堂京は難航する警察の捜査に業を煮やし、ミサキの夫である
「随分むずかしそうな顔をするわね」
「なぜ君がいる」
「あなたが祓い師として未熟だからじゃないかしら。おかげでこうして意思疎通ができてしまうようになった。不思議よね。因果なものだわ」
「僕は一応こう結論づけた。キミは僕自身の見せる幻視であると。そういう意味では確かにまだまだ弱い人間ではあるな」
「あなたがどう思おうと勝手よ。たとえ幻でも"カノジョ"じゃなくてわたしを選んでくれたこと、嬉しいわチカゲ」
「アキ、キミは死んだんだ。至るべき場所で大人しくしていてくれ」
「わたしがあなたの弱さなら、そうね、今あなたが調べていることで少しは役に立つと思うわよ」
「檜山といいキミといい、僕はつくづく人付き合いに恵まれないね」
「ふふ、彼も健気で可愛いわね。ただ一つ忠告してあげる。彼みたいなまっすぐな人間はいつかきっとあなたの致命傷になる。
「失せろ!」
「もしもし、やっぱ鮠眉さんてツンデレってやつですよね」
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