亡き親友のためのパヴァーヌ
早藤 祐
前奏曲
天花は日付が変わった頃に一度目を覚ました。
窓の遮光カーテンは開け放っていてレースのカーテンを透かして見える夜空には煌々と光る満月が浮かんでいた。ベッドの脇のサイドテーブルに置いた写真立てと時計に目をやる。そこには親友だった晴香と二人で撮った自撮り写真が入っていた。笑顔の晴香がまぶしい。自然に目尻に水滴が浮かぶのを感じた。
晴香とはもう会えない。そうなってしまった日からもう何夜たったのか、もう何日経過したのか。目覚めると数えてしまう。今日もそういう夜だった。
あの子もどこか違う世界でこんな夜空を見上げて私の事を想ってくれているのだろうか。そうであって欲しいと願った。月を見上げてそう願うと天花は再び静かに横になって眠った。せめて夢の中であの子と逢えたらいいなと願いながら。
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