管理会計の基本がわかるお話

@hirousathome

第1話 200人、100億の壁

 もし、あなたが企業経営者で、または企業の管理部門の長などをやっていて、自分の勤めている会社の従業員が200名を超えたころ、ひとつの壁にぶつかっているのではないだろうか。

 200名。そのくらいの人数になってくると、企業はいくつかの部門に分かれて事業活動をしていることが多いことだろう。そしてこの人数はひとつの組織、コミュニティの中で、個人が互いにお互いの名前と顔がわかるおそらく限界に近い人数となる。

 今まで、会社として一体でやってこれたものが、このくらいの規模になると通用しなくなってくる。人間、よく知らない相手に対しては情は湧かないし、自分の得られる利得がそのよく知らない人によって妨げられると、大抵は不満を持つ。

 事業は水物で、世の状況は移り変わるもの。安定して10年たつと、大抵の事業は陳腐化し、稼げなくなってくるし、一方で、成長し始めの事業は投資が先に必要で、利益を食うものだ。

 あなたが経営者だったり、管理部門にいる人ならば、「そういうものだ」と思うだけだろう。だが、今現在、利益を生み出している事業に従事している人間からすれば、市場が陳腐化して利益を稼げなくなった事業は足手まといに見えるし、投資中の事業も会社の足を引っ張っているように見える。そんな状況にあって、全員を同じ評価にすると、多くの人間は不満を持つようになる。

 そんな時に必要になってくるのが管理会計だ。

 管理会計は、組織や個人をどう評価し、事業をどう評価するかという判断に対して、説得力を持たせるための会計と、それを成り立たせる仕組みのことだ。

 これからそれを少しずつ解説していくことにする。

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