第1話 視点:小熊 ゆい

私は今、ピンチです。とてもピンチなのです。


「…小熊さん、わからないのに手を挙げたの?」


………。


事の発端は数学の授業中でした。


「ここわかる人いる?」


数学の担当教師である「渡西先生」がクラスを見渡して問うたのです。私はすかさず手を挙げました。何故なら先生が問うている問題の答えがわかったからです。


ですが、先生は私が手を挙げても見ないふりをしてきます。そこで私は、


「はい!わかります!」


と、主張しました。すると渡西先生は溜息をついて


「…小熊さん前へ」


と言ってくれました。

私は黒板に行きました。ですがここでピンチ到来!

席から見た問題と全く違うではないか!


「………」


そして冒頭に戻るわけです。


「小熊さん、わからないなら無理しなくていいわよ」


無理なんてしていません。

私は問題を見ているうちに答えが浮かんできました。


「わかりました!」


私は黒板にチョークで答えを書いていきました。

先生が後ろで息を飲みました。


「ふぅ」


私はチョークを置き、黒板から席に戻ります。


ふふっ、皆私の頭の良さにびっくりしているのでしょうか。


「………不正解です」


なんと。



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ちょっとお馬鹿な小熊さん! サーモンエビマヨピーマン寿司 @ttttttttyyyyyyiiiii

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