隣の席の巨乳JKに優しくしたら、超絶病んで愛されたんだが。

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

佐々木さん、病む

第1話 隣の席の佐々木さん

 俺、山田は平凡な高校生だ。


 少し頭がいいくらいで、飛び抜けたことは一つもない。


 顔も普通よりは、少し良いくらい。


 ……自分で言うのは恥ずかしいので、やはり中の中としておこう。


 そんな俺は、高校でもごくごく平和に暮らしていたのだが……。


「それで、なんで私以外の女の子と話したんですか? ねぇ、なんで? 私じゃだめなんですか? 楽しいお話なら、まず私にしてくださいよ。ねぇ?」


 現在、絶賛問い詰められ中です。


 問い詰めているのは隣の席の佐々木さん。


 こう言ってはなんだが、顔は整っていて胸も超でかいが、地味で大人しい女の子……のはずだった。


「ねぇ? 逃げないで下さい? わ、私以外見ちゃだめです……!!」


 本当に、なんでこうなってしまったのだろうか。


 ときは、ちょうど昨日の放課後まで遡る。






 ◇ ◇ ◇






「これで授業を終わりにする。学級委員は後で職員室来い。プリント渡すから。」


「は、はい……」


 いつもどおりの6時間目の終わり。

 なにも変わらない日常。


 うん。素晴らしいね。俺の大好きなやつだ。


 アニメでも異世界系も好きだが、一番は日常アニメ。あたし○ちとか大好きだ。


「ふぁぁ……家帰って勉強でもすっか」


 寝ようと言いたいところだが、学生たるもの勉強はしなければ。


 まだ受験とは遠いので1,2時間やったら床につこう。


 俺はルンルン気分で掃除に向かった。










「あっ、本返さないと」


 掃除も終わり、生徒たちが下校を始めた頃。


 俺も早速帰路につこうかと思っていたのだが、図書室から借りていた本の返却期限が今日までのことを思い出した。


 あっぶないあぶない。前に2日遅れて怒られちゃったんだ。


「ふんふふーん」


 俺は鼻歌を歌いながら、のんきに図書室へと向かう。


 人生楽しそうでしょ?


 うん。大いに楽しいよ。

 なんの変哲もない普通の人生。だがこれがいい。これでいい。


 突然ヒロインに愛されたり、ユーホーに連れられたり、異世界に飛んだり。


 そんな超展開は求めてないのさ。


「ありがとうございましたー」


 図書委員の気だるげな声を聞きながら、図書室を出る。


 借りていたのは生物の実験で使った図鑑的なやつ。

 班で一人借りてくるっていうので、ジャン負けで借りていた。


 子供の頃読んだやつとは違くて、高校生向けの内容なのでなかなか楽しかった。


「みんな帰っちゃったかなー」


 俺みたいな帰宅部は部活に勤しみ帰宅し、運動部の皆様も部活に勤しんでいるだろう。


 本を返すついでに、なにか面白いのないかと漁っていたので、時間はそこそこ経っている。


 なので流石に誰もいないかと思ったのだが……


「こんなの終わるわけないよぉ……」


 俺の隣の席の隠れ巨乳美少女JKの佐々木さんが、机に置かれた大量のプリントの前に弱音を吐いていた。


「佐々木……さん?」


「あっ、えっ……その………あぅぅ……」


 誰もいないと思って吐かれた弱音らしく、それを聞かれて彼女は狼狽していた。


「これ、一人でやるの?」


 俺はお行儀悪いが自分の机に座って、プリントの山を指さして尋ねる。


 積み重ねられたプリントの山は4つあって、みんなものすごい数積み上がっている。


 佐々木さんの手にはホチキスと、まとめられた紙の束。


 なるほど、この4つの山から一枚ずつプリントを取って、ホチキスで留めるのか。


 …………クソめんどいじゃん。


「えっと、はい。一人……です。」


 佐々木さんが、恥ずかしながらというようにうつむいてつぶやく。


「ヤバくね?」


「や、ヤバい……です」


 俺が首を傾げて尋ねれば、彼女は涙目になって頷く。


「ったく、しゃーねーな」


 俺はそうつぶやき、机から降りて部屋を出る。


「あっ……」


 扉を閉めようとしたとき、背後からそんな悲しげな声が聞こえてきた。


 本当に、仕方ないな……。











「ふぅ〜スッキリした〜」


 俺はハンカチで手を拭きながら、教室の扉を開けようと手をかけて……止めた。


 中からは一定のリズムで、トントン、パチン、トントンと、紙をまとめる音とホチキスで留める音が聞こえてくる。


「はぁ……」


 俺は小さくため息をつき、


 ガラガラガラ


「よっす、待たせたな!!」


 そう軽く手を挙げて、教室に入った。


「えっ? あの、帰っちゃったんじゃ……」


「いやいや。流石に困ってる可憐な美少女一人残して帰るほど俺は鬼畜じゃねぇよ。それにほら、バック残ってるだろ? 作業する前に、ちょっとお花を摘んできただけだ。」


 意味がわからないという顔をする佐々木さんに、手に持ったホチキスをかざして微笑む。


 ホチキスだっけ、ホッチキスだっけ?

 まぁどっちでもいいか。


「お花畑の隣の職員室から、かっさらってきた」


 俺はそうやっていたずらっぽく笑って、プリントの山に手を伸ばす。


 その山は俺が来たときに比べれば減ってるが、その減り方は全体に比べれば微々たるものだった。


「右から? 左から?」


「ひ、左……あっ、こっちからです。」


 俺の問に左と答えて、向き合っているからその向きが違うことに気が付き、佐々木さんは指で俺から見て右側を見て言った。


「オッケー。俺、単純作業は得意だから、任せときな!」


 俺は椅子にしっかりと座り直して、プリントの山に手を伸ばした。







 ◇ ◇ ◇





 という感じで、佐々木さんをお助けしたのだ。


 二人でやれば早くて、確か2時間弱で終わったと思う。


 その頃にはもう外が暗かったので、送ってく? と聞いたら、首を横に振って走って帰ってしまったのだ。


 そこまではなんの問題もなかったはずだ。


 俺やさしー! 俺カッケー! 俺サイコー! で、楽しく大団円のはずだ。


 そのまま、日常にカムバックできるはずなのだ。


 なのにどうして、俺は今。


「ねぇ、こっち見てくださいよ? 私のことを、私だけを見つめてください。なんで他の子にあんなふうにしたんですか? 私じゃ駄目なんですか? 私では満足しませんか?」


 佐々木さんに壁ドンされて詰め寄られているんだろうか。










☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


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