おいのり
和響
やさしいひかり
あるところに おこりんぼうのおうさまがいました
おうさまは なんでも じぶんの おもいどおりにならないと
すぐに おこってしまって
あたまから きかんしゃのように
もくもく もくもく
もくもく もくもく
くろいけむりが でてしまいます
あるとき おうさまは おとなりのくにが
じぶんの すんでいる くににはない
ひろいうみを もっていると しってしまいました
そして じぶんのすんでいるくによりも
もっと もっと
おいしいたべものがあることも しってしまいました
すると おうさまの あたまから いつものように
もくもく もくもく
もくもく もくもく
くろいけむりが でてきました
そこへ くろいけむりが だいすきな
いっぴきのやみが やってきました
やみは おうさまはからでるけむりをたべて
じぶんのからだを おおきくしました
どんどん どんどん やみは ひろがって
おうさまを すっぽりと つつんでしまいました
すると おうさまは さっきよりも
おとなりのくにが ほしくなってしまって
「せんそうだ! おとなりのくにを てにいれてやるぞ!」
と けらいたちに いいました
けらいたちは おとなりのくにに ともだちがたくさんいました
ほんとうは せんそうは だれも すきではありません
たくさん ひとが しんでしまうからです
でも おうさまから もくもくでる
くろいけむりをたべた やみが
けらいたちも まっくろに つつんでしまったので
けらいたちも そうだ そうだ と せんそうを したくなってきました
そして もっと へいしがいるぞ と くにじゅうから へいしを
あつめることにしました
ちいさな おとこのこの おとうさんも
へいしとして せんそうにいくことが きまりました
おとこのこは とっても とっても かなしくなって
かみさまに おいのりをしました
すると そこに おいのりがだいすきな
やさしくひかる ひかりがやってきて
おとこのこの おいのりを おてがみにして
せかいじゅうに とどけてくれることに なりました
まっくろな けむりをたべて どんどん おおきくなる やみよりも
やさしくひかる ひかりのほうが たくさんのひとに
おとこのこの おてがみを とどけることができました
こうして
せかいじゅうに おとこのこの おいのりは
てがみとなって とどけられ
せかいじゅうが どんどん やさしく ひかりかがやき
そして ついには
おこりんぼうのおうさまの けらいをつつんでいる
くろいやみをも やさしいひかりで のみこみました
まっくろなやみから ひかりにつつまれた
おこりんぼうのおうさまの けらいたちは
おうさまに やさしく いいました
「おうさま もう だれも せんそうは したくありません」
すると おこりんぼうのおうさまは
「なんで めいれいが きけないんだ!」
と もっともっとくろいけむりをだして おこりました
でも せかいじゅうの
おうさまじゃない ひとたちは
みんな やさしく
ひかりかがやいているので
おうさまが どんなに
まっくろなけむりを だしても
おうさまをすっぽりと
つつんでいたやみも
やさしいひかりにてらされて
だんだんと ちいさくしぼんでしまい
ついには おうさまから
はなれていきました
そして
おこりんぼうの おうさまも
やさしいひかりに つつまれて
せんそうを するなんて
ばかなことだ と
せんそうすることを やめてしまいました
そして もう にどと
せんそうをしたいとは おもいませんでした
おこりんぼうの おうさまは
もう おこりんぼうでは ありません
いつも やさしいひかりに
つつまれているからです
こうして せかいは
やさしい ひかりに つつまれた
せんそうのない
へいわなせかいに なりました
世界が平和になりますようにと、祈りを込めて
おいのり 和響 @kazuchiai
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