第12話 後悔しない
雪ちゃんと杏子に相談し、今後の方針を固めた僕は、もう後悔しないと誓った。
雪ちゃんと杏子の二人は男が苦手というか嫌いだった。
僕がその嫌いな男になる訳にはいかない。
そして決断の日が来た。僕は杏子と二人で祖父の病院へと足を運んだ。
担当の先生は親身になって話してくれるのでとても安心出来る。
これがあの
診察の番号で呼ばれたので診察室に行くと、この間担当してくれた先生だった。
「それで性別はどっちにするか決めたかな?」
「はい僕は女の子を選びます」
「そうか」
「でも、彼女もいるのでその小さいままでいいので、これはそのまま残したいんです」
「残すことは可能だけど使い物にはならないと思うよ?」
「使いませんよ!でも……赤ちゃんの種、精子だけは保管して置きたいんです」
「そうなると投薬でホルモン抑制剤の治療が必要かな」
「男性ホルモンを投薬で抑制して女性化だけを促すんだ。男性ホルモン自体は睾丸で生成するから睾丸はそのまま成長させる。精通したら睾丸を摘出保存する」
「これは危険だし、最悪ホルモンバランスを壊しかねないし、成功するかは分からないけどやってみるかい?」
「おねがいします」
「なるべく投薬期間は短期間で終わるようにしよう。長引くようなら中止して摘出手術を行う」
「分かりました」
「それじゃ薬を出しておくから、ちゃんと飲むように」
「はい」
◇◇
待合室では杏子が心配そうな顔をして座って待っていてくれた。
僕はその杏子の開いている左側の座席に座って会計を待つことにした。
「どうだった?」
「薬を出してくれるって」
「投薬がおわったら手術をするよ」
「そっか、女の子になるんだもんね」
「失敗してあそこが大きくなっちゃったら許してくれる?」
「許さないし、そん時は別れてやるから」
「ええええ!?」
「だから、おたるんは失敗なんてしない!信じてるよ?」
「杏子とは絶対別れないよ。愛してる」
「もう、場所考えろ」
僕は病院にもかかわらず杏子と口づけを交わした。
「ん……んん♡見てる、見られてるって」
「構わないよ」
もう一度杏子を抱きしめて、お互いの口の感触を確かめるようにキスを落とした。
◇◇
会計に呼ばれたので、僕は赤い顔を隠しながら受付窓口へ急いだ。
「院長のお孫さん?お熱いですねぇ」
「ああ……みられてました?」
「はい♡もうバッチリと?」
「あの……院長には内緒でお願いします」
「もう遅いと思うわよ?」
そう言う受付のお姉さんの視線の先には院長が立っていた。
「……そうみたいですね?あはは」
おじちゃんにはしっかり見られていたようだった。恥ずかしい!
◇◇
今日は薬を貰っただけなので、今まで通り学校には普通に通える。
でも、僕にはまだ懸念が残っていた。
彼女達が嫌いな大きなものを克服してしまった場合。
大きな人に寝取られたしまった時、女を選択した僕は生きていられるだろうか?
多分その時は絶望で、僕は死んでしまうかもしれない。
僕はNTRが大嫌いなんだ。
その時は僕は寝取った相手を〇してしまうかもしれない。
絶対に許さないから。
◇◇
「どうしたの?そんな怖い顔して」
「いや、ちょっとね。もし杏子が大きな人に寝取られたらと思うと怖くて」
「そんな心配してたの?いい?もし、この先私が犯されたり、無理やりやられたとしても。好きなのはおたるんただ一人だよ?大きいのには負けないから安心しろよ?」
「安心出来ないよ」
「だったら、おたるんが守ってよ?」
「うん、でも……もっと安心感が欲しい」
「分かった、家かえろ?」
そうして、僕と杏子は家に戻った。杏子はセキュリティのしっかりしたマンションに住んでいて、カードキーで施錠するタイプになっていた。
僕は予備のカードキーを貰っているので一人で出かけても大丈夫だ。
家に帰ると杏子はお風呂のスイッチを入れ、風呂の準備を始めた。どうやらお風呂に入るみたい。
「安心感が欲しいんでしょ?今日からもっとおたるんの事、甘やかしてあげるから」
◇◇
おたるんが、もっと安心感が欲しい。なんて甘い事言ってくれた。
私も、もう我慢しないでいいかな?最初はおたるんのあれが小さくてこれなら付き合えると思ったから、私はおたるんと付き合う事にした。
でもおたるんのものに触れ合うにつれ、私のおたるんに対する感情が変わってきたんだ。
おたるんの家庭環境に絶望し、助けたいと思った。
おたるんと家族になって、今度はおたるんが私を救ってくれた。
あの私のトラウマで元凶だった義父から私を救ってくれた。
私のために女の子になるなんて決めてくれた。
もうおたるん以外の人は考えられない。こんなにも私に優しくしてくれるんだから。
私はおたるんが大好き!もう絶対に離さない!おたるんを絶対にもう悲しませたりはしない!性別なんてもう関係ないの!
私はおたるんを心配させたくない。だから……精一杯甘やかすことにしたの。
◇◇
『ピーピー お風呂が沸きました』
給湯器からお風呂府が沸いたことを知らせるアラームが鳴った。
「杏子?お風呂先入る?」
「ちょっと待って!ほらおたるんも来るんだよ?」
「え?」
ちょ、何してんの?
杏子はもう服を脱いで裸だった。
「はい、脱がせてあげる♡」
「どうしたの?急に」
「安心感が欲しいっていったじゃん?」
言った確かに言ったね。
「言ったけど?」
「だからおたるんが安心するまで、甘えてもらうよ?」
ええええ?おっぱいが当たってるんだけど?
「当たってると思ってるでしょ?もちろん♡あ♡て♡て♡ん♡の♡」
心が読まれてるぅううう!
「甘えていいんだよ?お姉ちゃん♡」
気持ちいい♡何この感触?
「私達は姉妹なんだからぁ♡」
僕はそのまま風呂場に連行されてしまった。
「あそこ♡お流しします♡」
いや、やめて!
「……ん、ちょそこだめ」
「やっぱり可愛い♡これちょうだい♡」
「だめです」
「えーいいじゃん♡」
「代わりに、いっぱい揉んでいいから♡」
手がいつの間にか取られて杏子の胸に誘導されていた。
「あれ?もう揉んでるよ?」
「じゃ約束通りこれをもらい受けるで候♡」
「あん、だめだってば」
もう弄らないでぇ。
「ふむ、おたるんのおっぱいすこし膨らみが大きくなってきたかな」
「そう?」
触ってみるけどまだ固くて痛い。でもちょっと上向きな感じが可愛い。
「どれ、我が成長を早めてやろう。ペロン」
「ちょっ、何舐めてんの?」
「いいじゃないか姉妹のスキンシップだよ?」
そんな感じで、今日のお風呂でのスキンシップはいつもより多かった。
何かあったのかな。
◇◇
お風呂から出ると、ご飯の支度なんだけど、杏子は一人暮らしが長いのに、料理がてんでダメだった。
僕も料理はしたことが無いので、店屋物とかスーパーのお弁当、カップ麺、レトルト食品など、体に悪そうなものばかり食べていた。
今日はスーパーで買ってきた弁当だ。
「だれか料理作れる人いないかなぁ」
すると頭に浮かんだのはいつも僕に弁当を作ってくれる幼馴染の雪ちゃんだった。
「雪ちゃんなら作ってくれるかな?」
「ん?今、他の女の事考えてた!?」
「ほら、雪ちゃんて料理上手だからさ」
「どうせ、私は作れませんよーだ」
「僕も作れないから!」
買ってきたお弁当を二人で食べる。杏子はこんな生活を一年も続けていたのか?
僕も栄養バランスは考えないといけないんだけど……この調子じゃバランス悪そう。
食事事情は今後の課題として、今日病院で貰った薬を水で飲んでから歯磨きをする。
「ほら歯ブラシ持ってきたよ?」
「お、気が利くね?お姉ちゃん」
後は今日は、テレビ見て寝るだけなんだけど。今日の杏子は色っぽいというか良い匂いがするので落ち着かない。
「どうした?もう寝る?」
「そうしようかな」
「それじゃ布団に先入ってていいよ?私は。もう少しゲームしてから寝るから」
「うん、お休み」
布団に入って横になっていると、ゲームしてたはずの杏子が布団に入ってきた。
「ねぇおたるん♡こっち見て♡」
「なに?」
僕が寝返りを打って反対側の杏子を見ると……顔が近かった。
「ん……ちゅ♡」
近いと思ったら振り向きざまにキスされていた。
「安心感あげるよ?」
「……杏子?」
それから……何があったのか覚えていない。
もしかしたらここに書けないのかもしれなかった。
読者様へ
お読みいただきありがとうございます。
投薬について私は専門家ではありませんので
まちがいがありましたらすみません。ご指摘については歓迎します。
フィクションですのでご容赦を。
もっと続きを読みたいと感じて下さいましたら
☆☆☆、♡を頂けたら嬉しいです。
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