第11話 おたる相談する


  


 僕、吉田おたるが女子として通学するようになってから数日。今日は体育の時間。

 女子は女子更衣室で着替えることになっている。


「お姉ちゃんいくよ?次は体育の時間だよ!」


「……うん」


 もちろん体操着も女子の物を使用する。最近の女子の体育着は、パンツタイプが主流になっているので男子と似たものとなっている。


 ブルマとかはパンツがはみ出したりして恥ずかしいし、小さいとはいえアソコが膨らんでいると男の娘になってしまう。


 実際そうなんだけど?僕は女の子でもあるから恥ずかしいんだよ。


 2組女子のみんなが更衣室へ入っていく中、僕は逡巡しゅんじゅんしていた。

「もう、おたるん?躊躇ためらってないで入る!」

 

 杏子に背中を押され、僕は女子更衣室に入ってしまった。


「うわっ!ととと……」


 目の間に広がるパラダイス!おお神よ!神は存在したんだ!


 広がるはブラジャーに下着の咲き乱れるお花畑。大きさも大きい花から小さい花まで色とりどりだった。


「はいこっち来て!お姉ちゃんのロッカーはこっち!」


「え?うん」


 やばい!なんて天国なんだろう。今まで生きてきてこんなに良い思いをしたことが無い。やっぱり僕は女の子になりたい。


 女の子として女の子が好きになりたい!あれ?それでいいのかな?


 多分、僕は女の子に目覚めてしまったんだ。


「早く着替える!」


「あぁ……ごめん杏子」


 制服を脱いで下着姿になった僕はみんなよりも小ぶりな乳房に特に劣等感などは生まれなかった。ただみんなと同じことが嬉しかった。


 体育の授業は僕は身長が低く体力もないので、走れば一番遅いし、柔軟も2人組になっても相手に手が届かない。


 何と言ってもロリ体型なのだから仕方ない。


「おたっちロリかわいい!」

「俺告白しようかな?」

「黙れロリコン!」

「おたっちは天使なんだ!手を出したら、このファンクラブ一号の僕が許さない!」


 なんだろう、いつの間にか私のファンクラブが出来てるんだけど?こわ!


 こう見て見ると、私を必要としている人たちに囲まれている幸せを実感できる。


 そして、私の長年にわたる男の子としての辛い人生が、私に女の子として生きろと呼んでいるような気がした。




 ――男子を選ぶか?女子を選ぶか? 私の選択の日は差し迫っていた。




◇◇



 最近、お姉ちゃんおたるんの様子がおかしい。


 女子の制服で登校するようになってから、女子化が進んでいるような気がする。


 どうしよう、このままだと……本当におたるんがお姉ちゃんになっちゃうよ?


 私が本気で好きになった私の彼氏、おたるん。このままだと……おたるんは彼女になってしまう。


 このまま男の子でいて欲しい気持ちもあるけど、多分おたるんが男を選ぶと、あそこは大きく育ってしまう。


 それは嫌だ。そうしたら私はおたるんを嫌いになってしまうから。


 私の我儘なのは分かってるけど、そのままのおたるんでいて欲しいの。



 

◇◇



 

 おたくんが女の子になってしまった。


 これは私にとって非常にショックだった。


 何故かというと、女の子になるって事は、可愛いアレを取ってしまうかもしれないから。


 私の大好きな、おたくんの小さなあそこは、私のアオシスなのに!


 これは一大事です!


 何とかして女子化を止めなければ……でも、もしおたくんが男の子を選んだ場合は?


 ……まさか……おたくんのアレは、成長してしまうの!?


 ……これはどっちを選んでも地獄行き決定!?それはダメ!




◇◇



 僕は、いえ私は、身近な人に今後の事を相談しようと思った。


 私にとっても大事なことだけど、私の妹であり彼女の杏子と、私を慕ってくれる幼馴染の雪ちゃんの二人に性別の選択について相談することにした。



 杏子と一緒に住んでいる家はベッドは一つしかないので(自分のは捨てた)いつも一緒に寝ている。


 女の子同士だし、あそこは赤ちゃんのままなので問題は起きない。


 今日は雪ちゃんにも家に来てもらった。


「おたくん?相談があるって聞いたんだけど?」


「おたるん……やっぱり悩んでるみたいだね?」


「そう、今日来てもらったのは、多分僕……私の事を好きな二人に、私にどうして欲しいか確認するために来てもらったの」


「おたくん、やっぱり女子化進んでる?」

「おたるん……まるで女の子じゃん?」


「僕が女の子を選んだら、雪ちゃんと杏子とは子供が作れなくなるんだ」

 

「「おたるん」「おたくん」が女の子を選ぶなら止められないよ?」」

「それがおたくんの意思なら」

「おたるんが望むなら」


「それは僕との結婚は考えてないってこと?」


「「違う!」」


「結婚はしたい!けど男〇恐怖症は治らないんだ」

「結婚はしたいけど大きいのは吐き気がするの嫌いなの!」


「……小さいこの子ならいいの?」


「はい!」「大好き!」


 どうやら二人は結婚はしたいけど、大きなのは嫌いなのかな?


「決めたよ。僕は結婚はしない。だけど二人を幸せにはしたい」


「それはどういう?」

「おたくん?」


「僕は女の子を選択するよ。でも玉は取ってもコレは取らない」


 それか玉は将来のために保管してもらうことは出来るのかな?

 あとは精巣だけを成長させることが出来れば精子を残すことが出来るかな。


「それでうまくいくか分からないけど……」


「僕は将来出会うかもしれない人より、今大事にしたい人を取るよ」


「おたくん」「おたるん」


「僕と結婚出来なくても、僕が女の子になってもいいなら……僕と付き合って下さい」


「おたるん?あの一人増えてない?」

「はい!おたくん大好きです!」


「彼女の私の立場は?おーいおたるん?」


「おーい!おーい!聞いてんの?お兄ちゃん?」


「もう、いいよ一人増えたって、結婚しないんでしょ?はぁ……」


 ちょっと杏子は残念そうな顔をしているけど雪ちゃんは嬉しそうに笑っている。



 これで良かったのかな?






読者様へ


お読みいただきありがとうございます。

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☆☆☆、♡を頂けたら嬉しいです。


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