第4話 渡月さん家に来る
放課後、僕はお昼に返し忘れた今泉さんの弁当箱を返しに行ったんだけど、今泉さんを泣かせてしまった。
昨日の事、言うつもりなんて無かったんだけど、僕の方から距離を置いたのに……別に良かったんだけど……無視された事を謝られたって、今更許すことなんて出来ないし、でも……雪ちゃんにだけは知って置いて欲しかったんだ。
――僕の昨日の決意と、渡月さんとの出会いを。
「おーたる♡」
「あ、渡月さん。今日はもう帰り?」
渡月さんがニヤニヤしながら、僕の顔を覗き込んでくる。
「んーにゃ?……さっき、見てたんだけど?女の子泣かせて、もう浮気?」
ええ?見てたの?
「え!?違うよ?昨日の事話したら泣いちゃって……」
「なんだ言っちゃったんか……そりゃ泣くわー」
「……ごめん」
「別に謝んなくてもいいし?それに泣いてくれるなんていい子じゃん?そう言う子は大切にしろって?」
「うん」
「ほら、そんな自身なさげな顔してっから虐められんだよ?もっと自信持て!」
渡月さんは僕の背中を叩いて、喝を入れてきた。
「私の見たてじゃ……おたるが、そんなだから……近づきたくても、話しかけられなかったって所じゃん?」
「……そうかな?」
「じゃなきゃ、このタイミングで話しかけてこねーし?」
だとしたら……雪ちゃんが、僕に話しかけてこなかったのは……僕のせいなのかな?
「ところでさ、今日おたるんち行っていい?」
「え?いいけど?」
「んじゃ、このまま一緒に帰ろ?」
「う、うん」
渡月さんが僕の左腕に抱き付いてきて、腕を組んでと言うより、腕をホールドされてしまったので……そのまま一緒に帰ることにしたよ?
柔らかい物が腕に当たって気持ちいいんだけど、ええ?このまま帰るの?……恥ずかし過ぎだよ?
「おたる、顔が赤いぞ?」
「あ、当たってるから!」
結局、僕はこのまま家まで連行されてしまった。恥ずかしいんだけど、腕を外す力も外す勇気も無かったよ。
◇◇
僕は隣のクラスの美少女。渡月杏子さんと付き合うことになった。
実際には僕はじゃなくて、僕のあそこは……なんだけど。
渡月さんは話すと明るい人で、どうしてこんな綺麗な人が自殺なんか考えたんだろうと不思議に思っていた。
でも、渡月さんには、他人には触れられたくない過去があるみたいで……教えてはくれない。
何故男が嫌いになったのか?男嫌いなのに、なぜ付き合ってる人がいたのか?何故大きなアレが嫌いなのか?
いつか……彼女は教えてくれるだろうか?
――僕は彼女を助けたい。と本気で思ったから、渡月さんの全てを知りたいと思った。
さて、今日は渡月さんがうちに来たいというので連れて来たんだけど……何故か僕が連行されて帰って来たよ?
◇◇
僕の家には親がいない。小さい頃からずっと祖母と暮らしている。
なんで両親がいないのか聞いたことはあるけど、祖母は遠くにいるとしか教えてくれなかった。それ以来親について聞く事はしなくなった。
祖母は働いていないので、いつも家にいる。
「ただいまー」
「おじゃまします!」
家では、帰ると必ずおばあちゃんが出迎えてくれる。
「おや、お帰り?あらまぁ!可愛い子ねぇ」
「どうも、おたるの彼女の渡月杏子です!よろしくお願いします。お母様?」
「あら、お母様だなんて、私はおたるの祖母ですよ?」
「いえいえ、全然お若いですよー?」
「おたる?この子お嫁に貰いなさい?逃がしちゃだめよ?」
「お嫁さんだなんてぇ。嬉しいですお母様♡」
「あらあら、式は何時がいいかしら?」
「おばあちゃん!早すぎるから!まだ僕達結婚できないから!」
祖母と渡月さんは、仲が良くなったようで……長話になりそうだったから、半ば無理やり僕の部屋まで連れてきちゃった。
2階に上がり、僕の部屋に渡月さんを入れてあげると、渡月さんは僕の部屋が珍しいのか、目をきょろきょろさせている。あんまり見ないで欲しいなぁ。
「おたる、強引なんだから」
「だって、長話……終わらなそうだったし」
「ふーん?いつも……そんな風に強引ならいいのに?ギャップ萌えってやつ?」
「しないから!」
「でも以外。もっと男の子っぽい部屋を想像してたよ」
「うちは、おばあちゃんしかいないから、物は余り無いんだ」
「そっか、私はもっとエロ本とか、エッチな本を隠してあるようなのを想像してたんだけど?隠してあんだろ?ほら、出せよぉ」
「無いない!買ったこともないし!」
「そう、そこなんだよ?おたる君!」
渡月さんは、探偵の真似事をするように話しかけて来た。
「キミ、もしかしてだけど……第二次性徴、来てないんじゃない?」
「え?」
第二次性徴?
「心的ストレスとか、外的要因、もしくは身体的何かが原因で性的機能が、まぁ、簡単に言えばあそこが大きくならないってこと」
「ええ?そうなの?」
「知らんけど?私が見たところ、おたるは声変わりしてないよね?」
「声なんて変わったことないし?良く女の子みたいな声って言われるけど?」
「背もそんなに伸びてない」
「低くてごめん」
「低くても可愛くて、私は好きだよ?」
「うん、ありがとう?」
「うん。だから、おたるの悩みの原因はそこなんだよ。だから、私が性徴を手伝ってあげる!」
「えええ?方法も分からないのに?無理だよ?」
渡月さんの顔が、なんかいやらしく見えるんだけど?大丈夫かな?
「おたるに足りないのは、性的な刺激!うん、私が決めた!」
「えええええ?」
「こんな空き家みたいな、何もない部屋じゃ刺激も無いでしょ?」
「そうかなぁ?」
「だから、おたる?今すぐ、服を脱いで横になって?」
「えええ!?何でそうなるの?」
「私が、見てあげるって言ってんのよ?早く全部脱ぎなさい?」
なんか……渡月さんに任せても大丈夫かなぁ?
……結局脱ぐのを渋ってたら、無理やり渡月さんに脱がされました。
もう、強引なのはどっちだよ。
読者様へ
お読みいただきありがとうございます。
ちょっと3本同時連載はきついですね。
もっと続きを読みたいと感じて下さいましたら
☆☆☆、♡を頂けたら嬉しいです。
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