第一章 出来損ないその2
そして、食堂に着いた瞬間大声で
「ロイド!!」
と。声の主はゲイル兄さんだ。
「なんでしょうか?ゲイル兄さん・・・」
俺がそう聞くと、ゲイル兄さんは俺とエレナの前に立ち笑いながら言った
「ククク!お父様からお話は、聞いたぞ!明日の決闘楽しみにしているぞ!出来損ない!」
そう言っていると、席から
「ゲイル、食事中ですよ。席に戻りなさい。」
「は、はい!すみませんお母様!」
そうこの人は、俺たちの母のセイラだ。
そして、母は続けて言った
「エレナ、あなたも早く席に着きなさい。」
「はい、お母様。――行きましょう、兄さま。」
エレナはそう言うと、俺の手を掴み席に連れていった。
そして、俺たちの前に食事が出されたが俺だけの分が質素なものだった。
(この食事にも慣れてきたものだ)
俺はほとんど具など入っていないスープやその他を食べ終わり、エレナと共にそれぞれの自室に戻った。
部屋へ戻ると俺は、ベットに腰を下ろし
「明日の決闘、終わったときエレナはどんな顔をするんだろうか、・・・・・ごめんな悪い兄さんで」
誰もいない部屋で一人俺は微笑を浮かべる。
翌日
俺はいつもどおりの時間に起き、いつもどおりの食事をとって決闘をするため庭へと向かった。
そこへ向かうとゲイル兄さんの他に家族全員が揃っていた。そしてもう一人俺と同い年で真紅の如き赤く、長くて綺麗な髪をしている女の子がいた。
彼女の名は――サレン・ベルクマン――
彼女も伯爵家の娘であり、また魔法と剣術を扱うことができる一族でブルーンス家とは家族ぐるみの付き合いだ。
つまり、俺の幼馴染でもある。
サレンは俺に近づき言った
「・・・信じてるわ」
彼女はそう言うと先ほど居た場所に戻って行った。
そして俺は、ゲイル兄さんのもとに向った。
「来たか!出来損ない!この俺様を待たせるんじゃねぇよ!」
「すみませんでした。ゲイル兄さん」
俺は少し微笑みながら言った。
すると、俺たちの前に父が来て
「これより決闘のルール説明をする。ルールは簡単、どちらかが降参または戦闘不能となれば終わりとする。武器は、剣を使用し魔法の使用も良いとする。」
そう告げた。
これは決闘における最低限のルールだから、誰も文句が言えないのである。
俺とゲイル兄さんには父からそれぞれ剣を渡されたが、俺の剣は折れやすいように細工がされていた。
(細工をしたのは、恐らく母だろうな。まぁ俺にとっては好都合だがな)
互いに剣を構えたところで、父が始まりの合図を出した。
「決闘・・・始め!!!」
始まりの合図と共にゲイル兄さんは俺に向かって突っ込んできて剣を振ったが、俺はそれを防ぎきれず少し後ろへ飛ばされてしまった。
「ふん!さすがにこれくらいは防いでもらわないと困る!」
「こ、ここからです!ゲイル兄さん!!」
「どうやら、威勢だけはいいようだな!!ロイド!!」
今度は俺がゲイル兄さんに攻撃したが、すべて防がれカウンターを食らって体は
ボロボロになってしまった。
「兄さま!!」 「ロイド!!」
二人の女の子が心配していてくれる。
(はぁーこのまま負けてもいいけど、もう少し遊ぶか。)
「はぁああああああああ!!!!」
俺は大声と共に身体能力強化の魔法を使った。
当然この場にいる全員が驚いた。
「「魔法を使ったぁあああ!?」」
エレナは泣きそうなりながら言った
「信じていました!!兄さま!!」
「さぁ、第二ラウンドと行きましょう・・・ゲイル兄さん!!」
「た、たかが身体強化じゃねぇか!そんなもの俺様だって使えるぜ!」
ゲイル兄さんも、身体能力強化の魔法を使った。
「全力で行きます!!」
「かかってこいよ!!」
そこからは、激しい剣のぶつかり合いだった。
「やったぁ!兄さまがゲイル兄さまを圧倒しているわ!!」
「くっ、この俺様が出来損ないに負けるはずがない!!」
戦いはどんどん激しくなり、二人の動きが速すぎるため旋風を巻き起こし何が起きているかが分からなくなってしまった。
「い、一体どっちが勝つの!?ここままロイドが勝っちゃうの!?」
姉のリアラがそう言うとエレナとサレンが
「ええ、兄さまが絶対勝ちます!!」
「ロイドが勝つわ!!」
と、宣言した。でも二人とも手が震えていた。
(まったく、かわいい妹と幼馴染を持ったものだぜ。でもその期待には応えられないな さてと、このくだらない戦いも終わらせるか)
「ここで決めます!!」
「こい!!ロイドぉおおおおおお!!」
―ドゴォォォォォォォォォォ―
と、大きな音を立てて決闘は幕を閉じた。
そして、決闘の勝者は―――ゲイル・ブルーンス
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます