フレアとオリバー

 それは突然だった。


 地面が揺れているのではないかと感じてしまうほどに轟音が響くも、何かが壊れる音とともに鳴り止んだ。


 轟音に起きたものは鳴り止んだことを不安に思いながら、眠りについた。


 そして所変わって、オリバーの商店の入り口は無惨にも砕かれ、その中心にはフレアがいた。


「オリバー、いるんだろう? 出てきな。」


「おお、おかえりになったんだね、フレア様。 叔父はそこにいるけど、震えあがっちゃって蹲ってんだ。」


「話があるから連れてきな。...早く!」


「ひぃ。 叔父さん、逃げてもしょうがないよ。 白状しようよ、ね? 一緒にいるからさ。」


「カリムー。 ...フレア様、まず聞いて欲しいことがあるのですが。」


「はぁ。 既に手紙で状況は知っている。 レティは既に街を出て行ったのかい、カリム?」


「あぁ。 止めてみたけど、俺じゃあダメだった。」


「…そうか。」


 フレアは舌打ちをして、震えているオリバーとカリムを睨みつける。


「提案だけど、レティを追いかける気はあるのかい? もちろん、この店を畳んでだけど...。」


「あ、あるぞ!? それに兵士が来たってことは、どっかの貴族が絡んでる筈だ。 住むに住めないだろうな。 既にカリムに頼んで同僚らを使ってレティが作った陶器を依頼者に届け終えている。 あとは、そこの真っ白な陶器だけだ。」


「それは?」


「王城にいるだろう、どっかの誰かさんだ。宛先が王城内とあったが、差出人が分からなかったから取り残してある。」


「そう...か。」


 フレアは白い陶器を見るが、一流に近い仕上がりだと感じる逸品だった。


 オリバーとカリムに荷物をまとめるように伝えて、陶器を持って王城へと向かった。

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