第14話 良くするために ※アーヴァイン王子視点

「それも、全て中止にするんだ」

「今までの計画を全て中止するというのですか!? そんな事をすれば、あちこちで混乱が生じますッ! このまま計画を続行しなければ――」

「駄目だ。こんなに無駄な工事は即刻中止。これは決定事項であり、反論は許さん」


 その大臣は、私の命令に納得していないようだった。だが、絶対に計画を続行するわけにはいかない。これ以上、彼女の功績を残しておくべきじゃないからだ。何故か皆から高く評価されていた、クリスティーナの功績を早く正常に戻す。


 そのために、彼女の関わっていた計画を全て中止するように指示した。それは全て無駄だから。あまりにも金遣いが荒く、民に負担を掛けすぎている。そんな計画は、中止したほうが絶対に良い。大臣は反対のようだけれど、私の判断は間違っていないはずだろう。ここは無理をしてでも、私の意見を押し通すべき。それが、民のためになるはずだから。


 今後は、クリスティーナがやってきた無駄遣いを世間に知らしめていこう。事実を公表して、今までの評価を正常に戻す。そうすることによって、あの無駄に評価されていた彼女の本当の姿を、皆も理解するはずだ。早く事実を知るべきなんだ。


 真実を明らかにしていくことによって、今後の活動をしやすくする。今は、そのための準備段階。王国にある全ての無駄遣いを止めさせる。民に全てを還元していく。それが、王としての仕事。私の計画は完璧だった。




 大臣との話し合いが終わって休憩していると、新しく婚約相手となったエステルがやって来た。


「お仕事、大変そうですね。大丈夫ですか?」

「心配してくれてありがとう、エステル。大変だけど私は大丈夫だ。君のおかげで、まだまだ元気にやれそうだよ」


 私の体調を心配してくれる、心優しいエステル。そんな彼女に、みっともない姿は見せたくない。なので私は、元気良く振る舞ってみせる。まだまだ元気だと。彼女のおかげで、まだ頑張れそうなのは本当だから。


 すると彼女は、ニッコリと微笑んだ。


「それはよかったです。けれど無理だけはしないでください。皆のことを考えるより先に、自分のことを優先してください。貴方が倒れてしまったら、困る人がたくさん居るんだから」

「わかった。君の忠告を肝に銘じておくよ」


 体調を心配して忠告までしてくれて、本当にありがたいな。やはり、彼女のような優しい女性をパートナーに選んで正解だった。


 ロアリルダ王国の将来について、エステルとは何度も語り合った。彼女は、王国の民のことを思いやり、節約することの美徳を理解していた。そして、同じ考えを持つ私の味方になってくれる。


 そして今も心配してくれていた。彼女のおかげで、もっと頑張ろうという気持ちになれた。ロアリルダ王国のために、私は何が出来るのか。どんどん新たなアイデアが湧いて出てくる。


 王国を良くするために、今が頑張り時だ。私には成功する未来が見えていた。皆が幸せになるために、無駄遣いは絶対に止める。それが、私の使命なのだから。

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