第13話 暴挙の影響
婚約破棄されてから数日後。とんでもない報告が、私のもとに届いた。
「それは、本当なの?」
「残念なから、事実です。アーヴァイン王子は、お嬢様が関わっていた施策の全てを中止せよ、と命令しました。街では混乱が起きています」
「……」
部下の報告を聞いて、私は言葉を失った。収集してもらった情報をまとめた資料を受け取り、それを読んで王都の状況を知った。それで、さらに唖然とする。
彼は一体、何をしているのか。
このままでは、街に失業者があふれかえることになるだろう。そのまま今の状況を放置すれば、各地に波及して王国は破綻してしまう。
そんな命令を下してしまったアーヴァイン王子に対して、王国民による反乱が発生する可能性もあるだろう。彼が何をやっているのか、理解できない。
とんでもなく危険な状況。こうなってしまったのは、アーヴァイン王子の愚かな命令によって。
「もっと、詳しい情報を急いで集めて。市民の状況、商人の反応、王都を守る兵士の様子について」
「了解しました」
私は、部下に指示を出した。早く動き出さないと、マズイことになる。そのために状況を把握しておかないと。巻き込まれて、大変なことになってしまうだろうから。
「それから今すぐ、都市開発に関わっていた業者の代表者を呼び出して。今後の対策について、皆で協議しなければ」
「わかりました」
部屋から出ていく部下の背中を見送ると、私は一人になって考える。これからどうするべきなのか。
アーヴァイン王子の婚約相手じゃなくなって、ミントン伯爵家から追い出された。ただの平民になった私の立場だと、街の状況なんて気にする必要はないはず。
この問題に対応するべきなのは、王族であり貴族達だろう。だから私は関係ないと無視することも出来る。
だけど私は、最悪な未来を想像してしまった。仕事を失い、生活することが困難になった人々のことを。彼らは苦しみながらどうにかしようとして、ロアリルダ王国に混乱が巻き起こる。そんな悲惨な未来の様子を予想してしまった。
苦しむ人々を見過ごすなんて出来ない。このまま、今の状況を放置することなんて出来ないわ。
私が自分で納得するために、出来る限りのことをする。この事態を見過ごしてしまえば、後で後悔することになるのは分かっていたから。あの時、私は助けに入るべきだったと。
ロアリルダ王国を救うためじゃなく、生活に苦しむ人を増やさないために介入することを決めた。まずは、施策の中止によって仕事を失ってしまった人々をどうするか対応策を考える。
自分一人だけじゃなく、手助けしてくれる仲間が必要ね。
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